今日の一曲 熱愛 | 歌謡曲と叙情歌を語る

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今日は五木ひろしさんの「熱愛」。1978年(昭和53年の作品で、この年の紅白でも歌われました。五木さんのすごい熱唱に引き込まれました。今でもときどき、歌謡番組で五木さんはこの歌をお歌いになりますが、その熱唱ぶりはいまだ衰えておらず、驚きます。


曲のテーマは「DV」です。曲調からして、なまっちょろい曲ではありません。「(おまえの)手首のきずあと」とか「青あざ」とか怖い言葉がでてきます。いくら愛していても、ここまでしてはいけませんね。ひどい男だなって。


この曲の作詞したのは男だとすると、お前、もしかしてDvしたのか?DVを正当化するような歌を作ったのかって思いたくなります。


が、この歌の作詞は男性ではありません。あたらしかずよ、という女性の方。女優の本間千代子さんのペンネームです。彼女から見たら、男のDVなんて、弱さの証でしかないと。


今はずいぶん変わって、歳の離れた優しいお兄さんてって感じのお父さんが増えましたが、昔の親父って本当に威張っていたのですね。良いパパもいたけど。


会社では部下にパワハラ、家に帰れば、奥さんや子供にモラハラ、ひどいケースはDVって親父が少なくなかったのです。一概にいえないけれど、僕と同級生の子(ロスジェネ世代)は、親父がそんな感じだったという話はちょくちょく聞きます。そんな殺伐とした雰囲気の家庭で育った子供は、同級生の大人しい子をいじめるようになる。僕が、子供の頃、1980年代ですが、学校のいじめが社会問題になりました。それだけイジメが多かったのです。まして80年代といえば、受験戦争が激しく、家でも学校でも成績をあげることばかりで、家庭の状況やイジメの問題などに顧みる余裕などなかった時代。そういう意味では、いじめる側もいじめられる側も不幸な時代でした。


僕のクラスにもそういう子がいた。何か気に入らないことがあると、すぐ殴ってくる。子供の時は嫌なやつだとしか思わなかったけれど、今振り返ると、家で親父にそういう目にあわされたのかもしれないってふと思う。そう考えるとかわいそうだなって。でも、いじめにせよ、D Vにせよ、パワハラにせよ、そんなことをするのは、この歌の歌詞ではないが、弱さの証だと僕は思う。よく、いじめは弱いからいじめられるなんて言説を聞きますが、いじめられる方も弱いかもしれないが、いじめる方も実は弱いのだと僕は思う。自分が弱いから、同じように弱い奴を見ると、むかついてくる。人間は自分と似すぎている人間を見ると腹が立つっていいますからね。



DVといえば、最近は妻が夫に対してやるなんて話も聞きます。女性が強くなったというが女性が男性にDVまでやっていいかといえば、そんなことは絶対ありません。dvなんて強さどころか弱さの裏返しです。ましてや、現代は、妻が夫にDVされたって相談できる窓口はあるけれど、夫が妻にDVされたと相談できる窓口が非常に少ないし、あったとしても男のプライドもあるだろうし、相談しにくいのが現状だそうです。


歌の話に戻りますが、この曲、坂本冬美さん、島津亜矢さん、丘みどりさん、あたりの歌唱力が高い人がカヴァーしてくれないかな?妻からのDVについて社会に問う意味でも。