「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
エリアマネージャーに求められる能力は、単に売上を上げることだけではありません。複数店舗を安定稼働させ、成果を継続して生み出し続けるための「再現性」をつくれるかどうかが、本質的な価値となります。数字の良し悪しだけを見て一喜一憂するのではなく、その裏側にある現場の習慣、空気感、判断基準のズレを読み取り、問題が表面化する前の兆しの段階で手を打てるかどうか。この感性こそが、エリアマネージャーの実力を大きく左右します。
また、マネージャーは自ら火消しをしてはいけません。トラブルの処理を肩代わりすることは、一時的には楽に見えますが、店長の成長機会を奪う行為でもあります。火を消すのは店長の役割であり、マネージャーの仕事は「火が出ない仕組み」をつくることです。場当たり的な対応ではなく、再発しない構造を設計し、全店舗に共通の基準として落とし込む。それがマネージャーの最大の価値です。
エリアマネージャーは、抽象的な方針と、具体的な現場改善を何度も往復しながら、曖昧な指示を排除し、店長の迷いを消すための基準をつくっていく存在です。方針だけ語っても現場は動かず、現場だけ見ていても組織は伸びません。この両輪を意図的に回し続けることが求められます。
さらに重要なのが、質問を引き出す信頼関係、本音を拾い上げる傾聴力、1on1で相手の行動を変えていく対話技術です。命令や指示だけで人は動きません。店長自身が「自分で決めた」と思える状態をつくれるかどうかが、行動定着の分かれ目になります。
マネージャーは自分で動く人ではなく、店長を通じて100人を動かす人です。だからこそ、自分が不在でも店舗が崩れない「仕組みと構造」をつくれるかどうかが、最も重要な評価基準になります。再現性を設計できるエリアマネージャーこそが、組織を未来へ進める存在なのです。
