「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

洗い場、いわゆるディッシュ・ウォッシャー・マシンルームは、アルバイトさんが必ず最初に経験する、最も過酷なポジションです。重い食器を運び続け、体力も気力も削られ、ユニフォームは水と蒸気でびしょびしょになる。誰がやっても大変な仕事であり、現場を支える重要な役割であることは間違いありません。

しかし、ここに「店長がピークタイムに入る」という行為には、大きな落とし穴があります。洗い場は作業に集中していれば、オーダーに追われることもなく、お客様に呼ばれることもありません。周囲とのコミュニケーションも最小限で済み、黙々と手を動かせば仕事が進んでいく。そのため、店長の立場から見ると、実は精神的に楽に感じてしまう場所でもあります。

スピード良く洗い物を片付ければ、「誰よりも働いた」「現場を助けた」という達成感も得られます。しかし、ここが最大の勘違いです。ピークタイムに店長が洗い場に入り込むことは、頑張っているように見えて、実際には「逃げ」になっているケースが少なくありません。

ピークタイムの店長の仕事は、作業量をこなすことではありません。全体を見渡し、人の配置を調整し、詰まりそうなポイントに先回りで指示を出し、スタッフの表情や動きを見てフォローに入ることです。判断が遅れれば、オーダーは滞り、ミスが連鎖し、現場の空気は一気に悪くなります。その判断と指示を担えるのは、店長しかいません。

洗い場に立っている間、店長は現場全体を見る視点を手放しています。これは努力ではなく、役割放棄です。アルバイトさんが最も苦しいピークタイムだからこそ、店長は最前線に立ち、指揮をとる必要があります。洗い場は任せる。現場は預かる。その覚悟と役割認識が、強い店長と弱い店長を分ける分岐点になります。

店長は「一番大変な作業をする人」ではありません。「一番大変な時間帯に、現場を崩さない人」です。ピークタイム、洗い場ではなく、現場の中心に立ちましょう。