飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる
NEXT5コンサルティングの雑賀です。
在庫が増えてしまう原因は、単なる発注ミスや管理不足だけではありません。その背景には「安全心理在庫」という、人の心理が大きく関係しています。
安全心理在庫とは、在庫を切らすことで批判されたり責任を問われることを避けるために、本来必要以上に在庫を持ってしまう行動のことです。欠品してお客様に迷惑をかけるくらいなら、多めに持っておいた方が安心だという心理が働きます。
現場の立場で考えれば、この行動は一見正しい判断のように見えます。実際、欠品はクレームや機会損失につながるため、避けたいと考えるのは自然なことです。しかし、この「念のため」が積み重なることで、在庫は徐々に膨らんでいきます。
在庫が増えるということは、現金が商品として眠っている状態です。PL上では費用になっていなくても、仕入れた時点でキャッシュはすでに出ていっています。つまり安全心理によって在庫を増やすことは、資金効率を悪化させていることと同じです。
さらに、在庫が多い状態は管理精度も下げます。どれだけ持っているのか把握しにくくなり、結果として廃棄ロスや期限切れ、発注ミスが増えやすくなります。「安心のために持った在庫」が、逆に経営の不安定要因になってしまうのです。
この問題を解決するためには、個人の意識だけに頼るのではなく、仕組みで管理することが重要です。適正在庫の基準を明確にし、発注ルールを定め、在庫回転日数を数値で把握する。さらに、棚卸しを通じて実際の在庫と理論の差を確認し、ロスを見える化していくことが必要です。
そしてもう一つ大切なのは、「欠品=悪」という考え方を見直すことです。すべてを切らさないことを優先するのではなく、適正な在庫で運営するという経営判断が求められます。
在庫は安心のために持つものではなく、利益を生み出すためにコントロールするものです。安全心理に流されるのではなく、数字と仕組みで在庫を管理すること。それが、資金効率の高い強い経営につながっていきます。
