飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる
NEXT5コンサルティングの雑賀です。

店長の皆さんに、ぜひ知っておいてほしい考え方があります。それは、あなたの労働時間は「試合時間」だということです。例えばスポーツの世界では、決められた試合時間の中で結果を出さなければなりません。試合終了のホイッスルが鳴ったあとに、たとえ一人で走り続けてゴールを決めたとしても、その得点は認められません。どれだけ努力しても、ルールの中で結果を出せなければ意味がないのです。それがプロの仕事です。

これは飲食店にもまったく同じことが言えます。多くの飲食店では、社員の労働時間は月210時間前後が一つの目安になります。この限られた「試合時間」の中で、売上をつくり、原価をコントロールし、人件費を管理し、そしてQSCを維持・向上させていかなければなりません。これらすべてを、決められた時間の中で達成することが店長の役割です。

しかし現場では、うまくいかないときに「時間を増やす」という方法を選んでしまうことがあります。早く出勤する、遅くまで残る、休みの日も店に来る。確かに短期的には問題が解決することもあります。しかしこの方法は、根本的な解決にはなりません。時間を増やして結果を出すことは、経営では評価されないからです。

なぜなら、それは再現性がないからです。長時間働くことで成り立つ店舗は、その人がいなくなった瞬間に崩れます。また、体力にも限界があります。どれだけ気合があっても、長時間労働は必ずどこかで無理が生じます。結果として体を壊したり、モチベーションが下がったりしてしまいます。

本当に重要なのは、限られた時間の中で成果を出す仕組みをつくることです。例えば、ピークタイムの動線を見直す、仕込みの効率を上げる、役割分担を明確にする、アルバイトを戦力化する。こうしたオペレーションの改善によって、生産性は大きく変わります。

また、数字の管理も同じです。売上計画を日割りにし、時間帯ごとの客数を把握する。原価率の動きを見て発注を調整する。人件費を時間帯ごとに設計する。こうしたマネジメントが機能すれば、同じ労働時間でも成果は大きく変わります。

飲食店のマネジメントとは、長時間働くことではありません。限られた労働時間の中で最大の成果を出す「試合運び」を設計することです。どこで攻めるのか、どこで守るのか、どこに人を配置するのか。試合をどう運ぶかを考えることが店長の仕事です。

努力はもちろん大切です。しかしプロの店長に求められるのは、努力の量ではなく、成果の質です。決められた試合時間の中で結果を出す。その意識を持つことが、強い店舗をつくる第一歩になります。