飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる
NEXT5コンサルティングの雑賀です。

飲食店の商品戦略では、感覚や人気だけでメニューを判断してはいけません。「なんとなく売れている」「スタッフのおすすめだから」といった理由だけで商品を残していると、利益構造はいつの間にか歪んでいきます。重要なのは、商品を数字で捉え、その役割を明確にすることです。

その際に有効なのが、縦軸に粗利率、横軸に販売数量を置いたポジション分析です。このシンプルな分析を行うだけで、各商品の役割がはっきり見えてきます。

まず、高粗利 × 高販売数量のゾーンに入る商品は、利益を生み続ける主力商品です。いわばお店の看板メニューであり、最も重要な存在です。この商品は品質維持と欠品防止を最優先に管理します。仕込み量、在庫、提供スピード、オペレーションまで含めて安定させることが大切です。

次に、高粗利 × 低販売数量の商品です。この商品は利益率が高いにもかかわらず、十分に認知されていない可能性があります。つまり「売れていない優秀な商品」です。POP、写真、SNS投稿、メニュー表の配置、スタッフのおすすめトークなどを強化することで、売上拡大が期待できます。販促強化商品として扱うべきポジションです。

三つ目は、低粗利 × 高販売数量の商品です。よく売れているものの利益が薄い商品です。ここは慎重な判断が必要です。人気があるからと放置すると、売上は増えても利益が残らない状態になります。原価改善、ポーション見直し、価格設計の調整などを行い、利益体質へと改善していく必要があります。

そして最後が、低粗利 × 低販売数量の商品です。売れず、利益も出ない商品です。このゾーンの商品は、廃止やリニューアルの候補になります。メニュー数が増えすぎるとオペレーションも複雑になります。役割を果たしていない商品は思い切って整理することが大切です。

ただし、本来この分析は商品を作った後だけに使うものではありません。むしろ重要なのは、商品を作る前から設計することです。

新しい商品を開発する際には、まず役割を決めます。新規顧客を呼び込むための商品なのか。それともリピーターを増やすための商品なのか。このコンセプトが曖昧なまま開発すると、結果としてどちらの役割も果たせない商品になりやすくなります。

新規向け商品であれば、写真映えや話題性、SNS拡散などを意識した設計が必要です。見た瞬間に「食べてみたい」と思わせる力が重要になります。一方でリピート向け商品は、満足度や中毒性、食べ続けられる味のバランスが重要です。派手さよりも「また食べたい」と思わせる設計が求められます。

そして販売開始後は、このポジション分析に落とし込みます。販促を強化するのか、原価を見直すのか、商品を改良するのか、それとも廃止するのか。数字を見ながら判断していくことで、メニューは成長していきます。

商品開発とは、単にメニューを増やすことではありません。役割を持った商品を設計し、数字で育てていく経営活動です。感覚ではなく、構造でメニューをつくる。この視点を持つだけで、商品戦略は大きく変わります。