「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

営業利益は黒字なのに、なぜかキャッシュが残らない。飲食店経営でよく起こるこの現象の原因のひとつが「在庫」です。

在庫はPL上では「まだ費用になっていない」資産として扱われます。しかし現実には、仕入れた瞬間に現金はすでに出ていっています。ここに、利益とキャッシュのズレが生まれる構造があります。

例えば、月商1,000万円の店舗が売上拡大を見込み、通常より多めに200万円分の食材を仕入れたとします。そのうち150万円分しか使わなければ、50万円は棚卸資産としてBSに残ります。

PL上の原価は150万円分だけなので、利益はしっかり出ているように見えます。しかしキャッシュは200万円分減っています。この「使っていない在庫の50万円」が、利益とキャッシュのズレを生み出しているのです。

在庫が増えるということは、現金を「店舗に眠らせている」状態です。特に多店舗展開時や新メニュー導入時は、発注ロットが増え、見込み仕入れが増え、廃棄ロスも増えやすくなります。その結果、在庫が膨らみ、気づかないうちにキャッシュを圧迫します。

在庫回転日数が長くなるほど、資金は固定化されます。在庫は売れて初めて現金に戻る。売れなければ、単なる「凍ったキャッシュ」です。しかも在庫は時間とともに劣化し、最悪の場合は廃棄となり、初めてPLにダメージとして現れます。

だからこそ経営では、棚卸しを毎月正確に行い、理論原価と実際原価の差を管理し、在庫回転日数を把握し、安全在庫の基準を決めることが重要になります。在庫は感覚で持つものではなく、数字で管理するものです。

利益を出すことと、キャッシュを残すことは違います。PLがきれいでも、BSとキャッシュフローが崩れていれば、経営は安定しません。在庫をコントロールできる会社だけが、「黒字でお金が残る経営」に進めます。