「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

飲食店の新規出店は、想像以上に多額の費用がかかります。内外装工事、厨房機器や什器備品、採用費、広告宣伝費、保証金や前家賃など、出店にはさまざまな支出が一気に押し寄せます。そして本当に怖いのは、オープンする前に資金が枯渇してしまうことです。

開業した瞬間に手元資金がほぼゼロになってしまうと、そこから先の打ち手が消えます。集客のための販促も、採用の追加も、教育の強化もできない。つまり、店を流行らせるための行動が取れない状態で営業がスタートしてしまいます。結果として、料理やサービスの良し悪し以前に、資金繰りが原因で失速し、閉店へ向かってしまうケースが少なくありません。

出店計画で最も重要なのは、店舗を作ることではありません。出店後に認知を獲得し、集客し、収益化を実現するまでのキャッシュフローを確保することです。これが、出店成功の一番のポイントになります。

出店直後の店舗は、当然ながら知名度がありません。どれだけ良い商品でも、最初は「知られていない店」です。そこから認知を取り、来店の理由を作り、リピートを積み上げるまでには時間がかかります。最低でも3か月、業態によっては半年以上、利益が安定しないことも珍しくありません。この期間に資金が尽きれば、勝負の途中でゲームオーバーになります。

だからこそ、出店費用の中で最も優先すべきは、内外装や設備投資ではなく運転資金です。内外装のグレードは、後からでも上げられます。厨房機器も、繁盛してから買い足せます。備品も、必要になってから追加できます。しかし、オープン後の運転資金だけは、後から増やすのが難しい。ここが出店の落とし穴です。

出店計画でありがちな失敗は、オープン時点で「完成形」を目指してしまうことです。理想の内装、完璧な設備、最高の席数、こだわり抜いた導線。その結果、資金が内外装に吸い込まれ、手元に残る運転資金が極端に薄くなります。見栄えは整っているのに、広告が打てない。人が足りないのに採用費が出せない。教育したいのに時間も人件費もない。これでは、繁盛の土台が作れません。

出店とは、店を作るプロジェクトではなく、売上を作るプロジェクトです。オープン後の数か月間に、どれだけ集客の仕組みを回せるか。どれだけQSCを磨き、リピートを積み上げられるか。ここで勝負が決まります。そして、その勝負を支えるのが運転資金です。

出店計画では「見栄え」よりも「資金が尽きない設計」を最優先にするべきです。店が完成した瞬間がゴールではありません。オープンしてからが、本当のスタートです。資金を残せる出店こそが、繁盛への最短ルートになります。