「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
飲食店で理念教育を強化したいなら、まず採用を強化しなければいけません。なぜなら理念教育は、入社してから教え込むものではなく、採用の段階で8割が決まってしまうからです。理念が浸透する人と、浸透しない人がいる以上、誰を採るかで会社の文化は大きく変わります。
飲食店では、スキルや経験よりも価値観の一致を優先する必要があります。技術は後から育てられますが、価値観は簡単には変わりません。忙しいときでも挨拶ができるか、チームで働くことを前向きに捉えられるか、清潔や感謝を当たり前と思えるか。理念は結局、日々の行動に落ちるものなので、行動の土台となる価値観が合っていないと、教育は空回りします。
また、理念教育がうまくいかない原因は、理念そのものではなく、現場の現実とのギャップで起きることが多いです。想像以上に忙しい、体力的にきつい、厨房が暑い、人間関係が不安、シフトが合わない。こうした理由で辞めてしまえば、理念教育をどれだけ頑張っても意味がありません。だから採用の段階で、現場の厳しさも含めて正直に伝え、それでも働けるかを確認することが大切です。
さらに、理念に合う人は面接の雰囲気だけでは見抜けません。面接では誰でも良いことを言えます。重要なのは質問によって価値観を引き出すことです。最近感謝した出来事はあるか、嫌だった接客経験をどう捉えたか、注意されたときどう受け止めるか。こうした質問に対する反応の中に、その人の本質が出ます。
理念教育を強化したい会社ほど、「理念に共感します」と言う人を採ってしまいがちですが、本当に必要なのは理念を守れる人です。忙しくても態度を崩さない、ルールを守る、指摘されたら直す。理念は気持ちではなく行動であり、行動できる人を採ることが採用の質を決めます。
そして最後に、理念教育が必要な人を採らないことが最も重要です。理念教育は方向性を揃え、行動を統一し、店の文化を強くするためのものです。人格を矯正するためのものではありません。採用の段階で「この人は理念教育で変わるはず」と期待してしまうと、現場は疲弊し、教育も崩れます。
飲食店で理念教育を強化するということは、採用を単なる人手確保ではなく、文化づくりに変えるということです。誰を採るかで会社の空気が決まり、店の空気がスタッフの行動を決めます。理念を浸透させたいなら、理念を教える前に、理念が浸透する人を採る。この順番を間違えないことが、最も重要な採用の考え方です。
