「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
人件費の適正値は労働分配率で考えます。労働分配率とは、「粗利のうち、人件費に何%使っているか」を示す指標です。計算式は 人件費 ÷ 粗利(売上−原価)です。
この数字が重要なのは、人件費の重さは売上だけでは判断できないからです。飲食店は、売上が高くても原価が高ければ粗利は残りません。粗利が減れば、人件費が同じでも経営を圧迫します。
だから、労働分配率は 売上ではなく、粗利を基準にして人件費を評価するための数字です。さらに言えば、労働分配率は 粗利が減ったときの「人件費の重さ」が一発で見える、飲食店経営において非常に実用的な指標です。
飲食店の労働分配率の基準は、一般的に 35〜40% が目安です。
この範囲に収まっていれば、現場を回すための人員を確保しながらも、家賃・水道光熱費・消耗品・広告費・減価償却などの固定費を支払い、利益を残す余力が生まれます。
例えば、月商500万円のラーメン店で原価率が35%の場合を見てみます。
・売上:5,000,000円
・原価:5,000,000 × 35%=1,750,000円
・粗利:5,000,000 − 1,750,000=3,250,000円
ここで労働分配率を35〜40%に収めるなら、人件費の適正額はこうなります。
・人件費(労働分配率35%):3,250,000 × 35%=1,137,500円
・人件費(労働分配率40%):3,250,000 × 40%=1,300,000円
そしてこの人件費を「売上比(人件費率)」に直すと、
・人件費率(労働分配率35%):1,137,500 ÷ 5,000,000=22.75%
・人件費率(労働分配率40%):1,300,000 ÷ 5,000,000=26.0%
つまり、月商500万円・原価率35%のラーメン店で
労働分配率を35〜40%に収めるなら、
人件費率の目安は22.8%〜26.0%
ということになります。
逆に労働分配率が40%を超えてくると、粗利の中で人件費が占める割合が大きくなりすぎ、家賃や水道光熱費など他の固定費、そして利益が圧迫されます。
一方で35%を下回ると、今度は人員不足やサービス品質の低下、低賃金による採用難につながりやすく、結果的に売上が落ちるリスクが高まります。
労働分配率は、単なるコスト管理ではありません。
「粗利をどれだけ現場に分配できているか」という、飲食店経営のバランスを示す数字です。
そしてこの基準を守るために必要なのは、人件費を削ることではなく、粗利を増やすことです。原価改善、客単価アップ、人時売上の向上、生産性の改善。これらが揃って初めて、賃上げが継続できる店になります。
