「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
体調が悪くても、何事もないように振る舞う。それが経営者という立場です。判断を止めるわけにはいかず、弱さを見せることもできない。どんな状況でも前に立ち続け、意思決定をし、会社を動かし続ける役割を背負っています。これは根性論ではなく、経営者というポジションに付随する責任そのものです。
だからこそ、経営者は自分の不調を言葉にしません。言えない、というより言わない。現場や幹部に余計な不安を与えないためでもあり、自分が止まることで組織が止まることを誰よりも理解しているからです。
そんな中で、本当に優秀な二番手とは何か。私は、指示が的確に出せる人でも、数字に強い人でもないと思っています。社長のわずかな異変に気づける人。これが、二番手として最も重要な資質です。
表情が少し硬い、声のトーンが低い、いつもより言葉が少ない、判断のスピードが微妙に落ちている。そうした小さな違和感を、「気のせい」で終わらせずに拾えるかどうか。体調が悪いですか、と直接聞く必要はありません。むしろ聞かない方がいい場合もあります。大切なのは、気づいたうえで自然に動けるかどうかです。
指示を待たずに一歩前に出る。会議の段取りを整える。判断が必要な材料を先にまとめておく。現場への対応を自分が引き受け、社長の判断負荷を軽くする。社長が考えるべきことに集中できる環境を、裏側から整える。これが二番手の仕事です。
優秀な二番手は、「言われていないこと」を勝手にやりません。しかし、「言われなくても分かること」には必ず手を出します。その判断基準は、自分が評価されるかどうかではなく、社長と会社にとって今何が一番重要か、という一点です。
二番手の価値は、成果の派手さでは測れません。数字として表に出ることも少なく、周囲からは見えにくい仕事ばかりです。それでも、経営者の判断精度とスピードを守り続けているのは、こうした裏側の支えです。
このタイプの人材が育っている組織は、経営の安定感が一段上がります。社長が多少無理をしても崩れない。判断が遅れない。現場がざわつかない。結果として、組織全体に余計なストレスが溜まりにくくなります。
二番手とは、代わりの経営者ではありません。経営者が最大限の力を発揮するための土台を整える存在です。その価値は、経営者の一番近くで、誰よりも会社を見ているからこそ生まれます。優秀な二番手がいるかどうか。それは、その会社の成熟度を測る、非常に分かりやすい指標だと思います。
