「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
「社長にお願いしたけれど、まだやってくれていない」。幹部からこうした声を聞くことは少なくありません。ただ、この言葉の裏にある問題は、単なる不満や愚痴ではありません。本質は「社長が動かないこと」ではなく、「社長が動ける状態で情報が渡っていないこと」にあるケースがほとんどです。
そもそも社長の仕事は、目の前の依頼を一つひとつ処理することではありません。会社全体の方向性を定め、数ある課題の中から何を優先するかを決め、限られた時間と意思決定をどこに使うかを選ぶことです。そのため、幹部からの依頼が社長の頭の中で「今すぐ取り組むべき最重要事項」に入っていなければ、後回しになるのは自然なことです。これは怠慢ではなく、役割の違いによるものです。
一方で、幹部側にも見直すべき視点があります。それは、その伝え方が「お願い」で終わっていないか、という点です。背景は何か、なぜ今やる必要があるのか、やらなかった場合のリスクは何か、やった場合に会社としてどんな効果が見込めるのか。これらが整理され、判断材料として提示されているかどうかで、社長の意思決定スピードは大きく変わります。
社長は魔法使いではありません。情報が整理され、選択肢が示されて初めて、最適な判断ができます。つまり「社長が動かない」のではなく、「社長が動ける形になっていない」だけなのです。ここを履き違えると、組織内に不満だけが溜まり、前に進まなくなります。
幹部の役割は、社長を責めることではありません。社長が決断しやすい土台を整え、会社を前に進めるための選択肢を用意することです。「まだやってくれない」という言葉が出たときこそ、その組織がどこまで成熟しているかが、静かに問われているのかもしれません。
