「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
スキルラダー設計とは、スタッフが何ができるようになれば次の段階に進めるのかを、段階的にはしごのように可視化する人材育成の設計手法です。感覚や属人性に頼らず、できることが評価され、できることが増えれば役割と責任が広がり、それに応じて時給やポジションが上がる。この一連の流れを、誰が見ても分かる形に落とし込みます。
スキルラダーの本質は、教育そのものではありません。現場を任せられる人材を、計画的につくることにあります。多くの飲食店では、何ができれば一人前なのか分からない、評価基準が人によって違う、頑張っても何が変わるのか見えない、という状態が常態化しています。この曖昧さが、不満や離職、育成停滞の原因になります。スキルラダーは、業務・判断力・責任範囲という三つの軸で成長を段階化し、進むべき道筋を明確にします。
飲食店におけるスキルラダーは、基礎作業者から始まります。指示通りに接客、仕込み、清掃といった基本オペレーションをこなせる段階です。次に、自走スタッフとしてピークタイムでも一人でポジションを回し、新人への簡単なフォローができる状態になります。さらにリーダー段階では、時間帯責任者として現場判断を担い、指示出しや一次クレーム対応、進行管理を任されます。その上には、シフト作成や発注補助、教育進捗管理を担うマネジメント補佐があり、最終的には店長や社員が不在でも営業を成立させられる任せられる人材へと成長していきます。
スキルラダー設計で重要なのは三つあります。一つ目は業務の細分化です。飲食店の仕事は感覚ではなく、数百項目に及ぶ具体的業務で成り立っています。できているかどうかを判断できる粒度まで落とし込むことが不可欠です。二つ目は判断基準を入れることです。作業ができるだけでなく、いつ、なぜ、その判断をするのかまで評価に含めます。三つ目は役割と責任、報酬を連動させることです。昇格すれば権限が増え、同時にできなければポジションを外れる。この緊張感が、人を本気にさせます。
スキルラダーがない現場では、最終判断がすべて社長に集まります。基準がないため、人を信じきれず、現場を離れられないのです。スキルラダーがある現場では、判断は人ではなく基準に委ねられます。これは人を育てる仕組みであると同時に、社長が現場から抜け、次の成長フェーズに進むための装置でもあります。
目の前のアルバイトを戦力に変え、現場を任せ、組織を前に進める。そのための土台となるのが、スキルラダー設計です。
