「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

売上1,000万円、利益率10%の飲食店を例に考えてみます。この店舗の年間利益は100万円です。ここで原価を1%改善できた場合、金額にすると10万円の改善になります。一見すると小さな数字に見えますが、利益率10%の構造では、この10万円は売上100万円を新たにつくり出したのと同じ効果を持ちます。なぜなら、売上を100万円増やしても、そのうち90万円は原価や人件費などに消え、最終的に残るのは10万円だからです。

売上を100万円伸ばすためには、客数を増やす、客単価を上げる、来店頻度を上げるといった複数の施策を同時に動かす必要があります。広告や販促、人員配置の調整も必要になり、短期間で実現するのは決して簡単ではありません。一方で、原価1%の見直しであれば、ポーション管理の徹底、ロス削減、仕入れ精度の向上、定数管理の見直しなど、今日からでも着手できる打ち手が数多く存在します。ここに、原価管理の即効性と重要性があります。

この考え方は、リスケ、いわゆる金融機関との条件緩和にもそのまま当てはまります。仮に毎月100万円の返済を一時的に止められた場合、半年で600万円の返済猶予が生まれます。多くの経営者はこれを支払いを先延ばしにしただけと捉えがちですが、見方を変えれば600万円の資金調達と同義です。重要なのは、そのお金をどう使うかです。

この猶予資金を赤字補填や場当たり的な支払いに使ってしまえば、リスケは単なる延命措置で終わります。しかし、原価構造の見直しやロス削減の仕組み化、発注ルールの再設計、人件費の最適化といった利益体質へ転換するための投資に使えれば、意味は大きく変わります。

飲食店経営は、売上だけを追いかけるゲームではありません。数字の捉え方一つで、取るべき打ち手は大きく変わります。売上を追う前に、原価とキャッシュの構造を正しく理解すること。それが、経営を立て直し、次の成長につなげるための確かな一歩になります。