「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
売上総利益と限界利益は、どちらも粗利と呼ばれるため混同されがちですが、意味も役割もまったく異なる数字です。この違いを理解していないと、売上は伸びているのに資金が残らない、忙しいのに儲からないという状態に陥ります。
まず売上総利益とは、売上から原価だけを差し引いた利益です。飲食店でいえば、食材費やドリンク原価を引いた後に残る金額であり、メニュー設計や原価管理が正しいかを判断するための指標になります。原価率が高すぎないか、利益を生む商品構成になっているかを見るための基本的な数字です。しかしこの段階では、人件費や家賃、水道光熱費などは一切考慮されていません。そのため、売上総利益がしっかり出ていても、手元にお金が残らないケースは珍しくありません。
一方、限界利益は売上から変動費を差し引いた利益です。変動費とは、売上に応じて増減する費用のことで、原価に加え、時間連動で増える人件費や売上連動型の広告費などが含まれます。限界利益は、売上が一円増えたときに実際いくら利益が増えるのかを示す数字であり、値引き、キャンペーン、集客施策を判断する際の重要な基準になります。
例えば割引施策を打つとき、売上総利益だけを見て判断すると、忙しくなった分だけ人件費が増え、結果として利益が減ることがあります。限界利益で見れば、その施策が固定費の回収にどれだけ貢献するのかが明確になります。限界利益の積み上げによって家賃や固定人件費といった固定費が賄われ、はじめて最終的な利益が生まれます。
売上総利益は商品力と原価管理を見る数字、限界利益は経営判断と施策の是非を決める数字です。粗利は一つではありません。目的に応じて使い分けることが、利益を残す飲食店経営への第一歩になります。
