「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

インペンとは、飲食店における棚卸し作業を指す現場用語です。Inventory 在庫 を Pen 手書き で確認することが語源とされ、帳簿やシステムの数字ではなく、現物を一つひとつ数える実地棚卸しを意味します。多くの店舗では毎月インペンを行いますが、年度末にはより精緻なインペンが求められ、食材やドリンクだけでなく、消耗品、食器、備品に至るまで、店内に存在するすべてを実数で確認します。

インペンの本質は、数字を合わせることではありません。原価率のズレやロスの発生、不正の兆候を早期に発見し、経営数字の信頼性を担保することにあります。理論原価と実際原価の差は、インペンを通じて初めて正確に把握できます。ここが曖昧なままでは、原価率が合っているように見えても、それは偶然であり、再現性のある管理とは言えません。

また、インペンは現場の緊張感を保つ役割も担います。現物を数えるという行為そのものが、在庫意識を高め、無駄な仕入れや使い過ぎを抑制します。逆に、インペンを疎かにすると、在庫は増え、ロスは見えなくなり、数字は簡単に狂っていきます。その結果、利益構造は静かに崩れていきます。

強い店ほど、インペンを単なる月末作業として扱いません。必ず第三者立ち会いで実施し、単価や単位の確認、前月との差異の検証まで行います。そして、その結果を次月の仕入れや定数管理、オペレーション改善に確実につなげています。

インペンは地味で手間のかかる作業です。しかし、この地味な積み重ねこそが、原価管理の精度を高め、利益を守り、経営の土台を支えます。インペンを軽視する店は数字に振り回され、インペンを徹底する店は数字を支配します。ここに、強い飲食店と弱い飲食店の決定的な差があります。