「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
コンサルの現場では、提案した取り組みに対してそれって本当に意味がありますか、と言われたり、忙しさを理由に後回しにされる場面に頻繁に出会います。朝礼、定数管理、日々の帳票記録、定時報告。どれも今すぐ売上を生むものではなく、目に見える成果が分かりにくいため、真っ先に削られがちな取り組みです。
中国の思想家・荘子が説いた無用の用とは、一見すると役に立たないように見えるものが、実は最も大きな価値を持つという考え方です。飲食店経営において、この無用の用に当たるのが、まさに朝礼や帳票、定数管理、定期面談といった地味な管理業務です。
これらは確かに、今日の売上を直接押し上げることはありません。しかし帳票があるからこそ、原価や人件費の異常に早く気づくことができ、数字が崩れる前に手を打てます。定数管理があるからこそ、過剰仕入れやロスを防ぎ、利益を守ることができます。定期面談があるからこそ、スタッフの不満や違和感をトラブルになる前に拾い上げることができます。そして朝礼があるからこそ、判断基準や優先順位が揃い、現場の連携が整い、事故やクレームを未然に防げます。
これらは直接利益を生まない代わりに、クレーム、離職、業績悪化といった大きな損失を防ぐための最強の予防策です。目先の売上だけを追い続ける店ほど、この無用の用を無駄だと切り捨て、結果として後から高い代償を支払うことになります。
一方で、安定して強い店ほど、こうした遠回りに見える取り組みを丁寧に積み重ねています。派手さはなくても、基礎を崩さない。その積み重ねこそが、繁盛を続ける店の土台であり、経営の強さそのものなのです。
