「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
最近では飲食店でも、モバイルオーダーやタッチパネル式の注文が当たり前になりました。人手不足の解消、オペレーションの簡略化、教育コストの削減など、効率面でのメリットは非常に大きく、導入しない理由はほとんどありません。しかし、マーケティングの視点で見ると、多くの店舗が見落としている致命的な欠点があります。それが、注文最終画面での合計金額表示です。
人は商品を選んでいる最中は感情で動きます。写真を見て美味しそうと感じ、言葉に惹かれ、つい追加したくなる。この段階では、客単価は自然と伸びていきます。しかし、合計金額が表示された瞬間、人の思考は一気に理性へと切り替わります。思ったより高い、今日はこのくらいでやめておこう、というブレーキがかかり、直前まで入れていた追加商品を削除する行動が起きやすくなります。ワクワクしていた気持ちが、金額確認によって一気に冷めてしまうのです。
つまり、便利さは必ずしも売上アップとイコールではありません。写真、言葉、おすすめ表示で欲しいを先につくれていない状態で合計金額を見せると、客単価は簡単に下がってしまいます。一方で、大手チェーンの多くは、この心理を前提に画面設計がされています。合計金額を意識させる前に、追加提案やセット提案、期間限定メニューなどを自然に差し込む導線が組み込まれており、結果として単価が落ちにくい設計になっています。
中小飲食店にとって、効率化は欠かせません。しかし、効率だけを追いすぎると、売上という効果面を犠牲にしてしまいます。UXや画面設計は、単なる操作性ではなく、感情の流れをどうつくるかという視点で考える必要があります。便利さと売上、その両立をどう設計するか。モバイルオーダー時代の飲食店経営において、避けて通れない重要なテーマです。
