「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

予実比較表は、試算表をそのまま使うのではなく、店舗管理用に再編集した実務直結型のマネジメントツールです。予算、実績、前年、前月といった複数の比較対象を横並びで確認できるため、PLのどこに異常や課題が潜んでいるのかを一目で把握できます。単に「黒字か赤字か」を見るための資料ではなく、「どこが、なぜ、どれだけズレたのか」を読み解くための帳票です。

さらに予実比較表の大きな特徴は、当月だけでなく累計値まで確認できる点にあります。これにより、年間予算に対する進捗状況や、前年と比べてどれほど改善できているのか、あるいはどの数値が悪化傾向にあるのかといった流れまで把握できます。単月の結果だけを見て一喜一憂するのではなく、店舗の状態を連続性の中で捉えられることが、経営判断の精度を大きく高めます。

売上、原価、人件費、経費が予算からどれほど乖離しているのかを、感覚ではなく数字で捉えられる点も重要です。たとえば売上未達が起きた場合でも、原価が想定通りなのか、人件費が過剰なのか、固定費が圧迫しているのかによって、打つべき対策はまったく変わります。予実比較表は、その判断材料を瞬時に可視化し、店長やマネージャーの意思決定スピードを一段引き上げてくれます。

この帳票は、単なる数字の羅列でもなければ、単月の結果だけを見るためのものでもありません。店舗の数字を「点」ではなく「線」で捉え、改善と成果の積み重ねを確認するための道具です。予実比較表を正しく使える店ほど、問題の発見が早く、打ち手が具体的で、改善の再現性も高まっていきます。店舗の成長は偶然ではなく、こうした管理ツールの積み重ねによって、必然として生まれていくのです。