「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
3店舗を超えた飲食店は、できるだけ早い段階でシステムへの投資を行うことをおすすめしています。勤怠、発注、レシピ、シフトなど管理領域は多岐にわたりますが、最も優先度が高いのは原価管理システムです。PL構造の中で最もブレやすく、かつ利益に直結するのが原価であり、多くの業態で30%を超えるプライムコストとして位置づけられています。ここが乱れると、どれだけ売上を積んでも利益は残りません。
原価管理には、レシピの分解、食材単価の更新、歩留まり管理、ロスや棚卸差異の把握など、極めて細かく、正確さを求められる業務が連なっています。数店舗の頃は、店長の経験や勘でなんとか回せてしまうため、システム化の必要性を感じにくいのが実情です。しかし、5店舗、10店舗と増えた瞬間、その管理は一気に統制不能に陥ります。ここで現場任せを続けると、原価は確実に崩れ、利益は静かに削られていきます。
この背景にあるのが、管理業務の指数関数的な増加です。指数関数とは、1→2→4→8→16というように、一定の割合で倍々に増えていく掛け算の増え方です。飲食店の管理業務は、まさにこの構造を持っています。店舗数が増えれば、レシピ、食材、発注、棚卸、調理者、すべての管理ポイントが掛け算で増えていきます。店舗数×メニュー数×管理項目×人数という構造になり、人の記憶や経験だけで支えられる領域を簡単に超えてしまいます。
だからこそ、早期のシステム導入は単なる効率化ではなく、利益を守るための重要な経営投資です。適正な原価率を維持できるかどうかは、本部機能の強化と今後の競争力を大きく左右します。多店舗展開において、原価管理は気合や根性で守るものではなく、仕組みで守るものへと進化させるタイミングに来ています。
