「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

飲食店ではビニール手袋の着用が当たり前になっていますが、その運用ルールが整備されていない店舗は意外なほど多く見られます。一見すると衛生的に見えるこの手袋ですが、実際の現場をよく観察すると、むしろ不衛生な状態を生み出しているケースも少なくありません。最大の問題は、手袋をつけていることで「清潔に作業できている」という錯覚が生まれ、手洗いの意識が大きく低下してしまう点にあります。

本来、ビニール手袋は清潔を保つための補助ツールであり、手洗いの代替ではありません。しかし現場では、仕込みから盛り付け、レジ操作、ゴミ処理、清掃まで同じ手袋のまま行ってしまう場面が頻繁に見られます。この状態では、手袋の表面に付着した汚れや菌が別の食材や器具へ移り、二次汚染のリスクが一気に高まります。素手よりも危険な状態になっていることすらあります。

衛生管理において本当に重要なのは、手袋そのものではなく、手袋の使い方です。作業区分ごとに必ず交換する、食材を触る前後では必ず手洗いを行う、レジや金銭を触った手袋では調理に戻らない。こうした基本ルールを明文化し、全スタッフが共通認識として持つことが不可欠です。また、手袋の交換タイミングを個人の感覚に委ねるのではなく、作業内容とセットで基準化することが管理精度を高めます。

衛生事故は一度起これば、売上だけでなく店舗の信頼そのものを一瞬で失います。だからこそ、見た目の安心ではなく、実態としての安全をつくる必要があります。ビニール手袋は魔法の道具ではありません。正しい手洗いと正しい交換ルールがあってこそ、初めて衛生を守る武器になります。今一度、手袋の使い方が本当に正しく運用されているか、現場で見直すタイミングです。