「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
飲食店のマーケティング戦略を考えるうえで、最も重要な視点のひとつが「商圏別の施策設計」です。ただやみくもに広告費を投下しても効果は出ません。エリアごとの特性や来店動機に合わせて施策を変えることで、初めて効率的かつ継続的な集客につながります。
まず、商圏は大きく3つに分けて考えることが基本です。
第一次商圏は、店舗の半径5キロ圏内に住む「日常利用」のお客様が中心です。リピーターの土台を形成する最重要エリアであり、この層が安定しなければ売上は積み上がりません。ここで必要なのは、チラシやポスティング、店頭看板、地域密着の口コミ対策、LINE公式アカウントの登録促進など、“お店の存在を知ってもらう・思い出してもらう”施策です。繰り返し目に触れる工夫が、日常利用のきっかけを生みます。
第二次商圏は、半径10〜20キロ圏の主要都市エリアです。このエリアでは、来店前の「事前比較」が必ず発生します。Instagram、Googleマップ、グルメサイトなど、店舗を検索したときに表示される内容のクオリティが来店率を大きく左右します。写真の統一感や“物語性”、口コミの質、投稿頻度など、お店の魅力を「比較される前提」で整備することがポイントです。
第三次商圏は、観光客や遠方からの来店が期待できる広域エリアです。ここで求められるのは圧倒的な「目的来店」です。メディア露出、YouTube、ブログ、旅行サイトの特集、観光スポットとの連携など、「わざわざ行く価値がある」と感じてもらえる話題性や独自性をつくることが鍵になります。一次・二次商圏に比べて接点づくりが難しい分、情報の広がりが大きな武器になります。
そして何より大切なのは、お客様がどのようにお店を認知し、比較し、訪問に至るのかという“行動導線”を仮説立てることです。
・どこでお店を知るのか
・どの段階で比較されるのか
・どこで離脱が起きるのか
これらを丁寧に分解し、各ポイントに合った施策を打つことで、広告費の無駄がなくなり、リピートと新規の両輪が安定して回り始めます。
戦略的な集客は「どこに向けて何を打つか」を明確にした瞬間から成果が変わります。商圏ごとの違いを理解し、行動導線に沿った施策を設計することが、飲食店マーケティングの本質です。
