「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

飲食店では、1日の総労働時間が同じでも、ワークスケジュール(ワースケ)の引き方によって営業成果はまったく異なります。店長にとってワースケは、単なるシフト表ではなく、自店が提供すべきQSCを来店予測に基づいて実現するための“稼働計画書”です。一日の営業方針、タスク、戦力配置、優先事項を明確にし、営業中も常に予実を確認するための管理帳票でもあります。

たとえば同じ労働時間50時間を使う場合を考えてみましょう。

・一人10時間×5人=50時間
・一人5時間×10人=50時間

どちらも人件費は同じですが、営業オペレーションはまったく別物になります。重要なのは「ピークタイムにどれだけ労働時間を集中できるか」です。ピークに戦力を寄せるワースケなら売上が伸び、QSCも安定しますが、ピークに人がいなければロスが発生し、クレーム・待ち時間・離反を招きます。

一般的に多くの店舗では、アルバイトの希望シフトを集めてからパズルのように埋めていくシフト作成をしています。しかし、これは本来の順番が逆です。

正しい順番は、
1.店舗が実現したいオペレーションと戦力配置を設計する
2.来店予測に基づいた“理想のワースケ”を作る
3.その理想の枠にアルバイトのシフトを当てはめていく

この流れで初めて、売上・QSC・人件費の3つが整合性を持ってコントロールできます。

特に重要なのが、「売上予測別のモデルワースケをつくること」です。

・平日◯人
・週末◯人

という大雑把な人数の考え方は早めに手放すべきです。
売上が60万円の日と30万円の日では、必要戦力も動きのスピードも全く違います。本来必要なのは、「予測売上ごとに最適化されたモデルワースケ」を複数パターン持っておくことです。

・日商25万円モデル
・日商40万円モデル
・日商60万円モデル

こうしたモデルワースケさえあれば、週次で売上着地を見ながら簡単にシフトを最適化でき、無駄な人件費も、逆に人不足の混乱も防げます。

同じ50時間でも成果が変わるのは、店長のワースケ設計力です。
「希望シフトを集める作業」から、「理想の営業をつくる設計」へ。
ワースケを握ることは、売上とQSCと人件費を同時にコントロールする最強のマネジメントであり、店長の腕の見せどころです。