「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
飲食店を3店舗ほど経営している社長にとって、店休日以外、朝から晩まで現場に入り続けることは特別なことではありません。むしろ「当たり前の責務」であり、毎日が真剣勝負そのものです。売上、スタッフ、顧客満足、トラブル対応──日々の経営は、まさに命を削る感覚で店舗と向き合う仕事です。
そのため、社長が見ている世界と店長が感じている世界には、大きな違いがあります。店長が「今日の売上はいくらだった」程度の目線で報告を上げる一方、社長は次のような経営の視点で数字を見ています。
・この3日間で家賃分は稼げているか
・15日までに人件費相当額を確保できているか
・25日の仕入れ支払いに向けてキャッシュは足りるか
つまり、社長にとって日々の売上報告は「ただの数字」ではなく、資金繰りや経営判断に直結する重大な情報です。だからこそ、毎日送られてくる日報の内容が「今日は暇でした」「雨で客足が鈍りました」などの“現象だけ”で終わっていると、正直なところ心穏やかではいられません。
社長が本当に知りたいのは「何が起きたか」ではなく、「だからどうするのか」です。
・暇だったから即座に呼び込みを強化した
・雨だったので近隣在住の顧客へLINEでオファーを送った
・今日の状況から、明日はこの施策を仕掛ける
こうした主体的な行動が示されてこそ、報告書は“経営の意思決定資料”になります。
店長が“現象の羅列だけ”を報告してしまうのは、社長が抱える日々のプレッシャーを知らないからです。社長は、売上が1日落ちただけでも資金繰りの不安が頭をよぎり、翌日の戦略を即座に組み立てています。その緊張感を理解しないままでは、「ただの報告」に終始してしまうのも無理はありません。
だからこそ、店長には次の姿勢が求められます。
・社長がどんな視点で数字を見ているのか理解する
・報告ではなく「仮説とアクション」をセットで伝える
・自分の判断で動いた「一歩先の経営視点」を共有する
店長の報告が変われば、社長の不安は確実に減り、コミュニケーションは大幅に改善します。店長は現場の責任者ではありますが、報告の質を高めることで“経営のパートナー”へと成長することができます。
現象だけを語るのではなく、「だからこう動いた」「明日はこう仕掛ける」と主体的に伝える。その積み重ねこそが、社長の信頼を生み、組織の成長を加速させるのです。
