「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
家賃基準を「売上の10%以内」とする考え方は、これまで飲食店物件取得の基本とされてきました。しかし近年は、より精度の高い判断指標として「粗利(売上総利益)の10%以内」を基準にすることを推奨しています。家賃は販管費であり、原価率の高低によって粗利構造は大きく変わります。同じ月商800万円でも、原価率30%と40%では粗利額は大きく異なり、同じ家賃でも経営への負担が全く違ってきます。
この粗利基準を採用することで、業態ごとの原価特性に合わせたより現実的な家賃上限を導き出すことができます。たとえばラーメン業態は粗利率が比較的高く、逆に居酒屋や焼肉店は原価が重くなる傾向があります。こうした違いを踏まえずに「売上の10%」だけで判定すれば、表面的には適正に見えても、実際は家賃負担が重く投資回収が困難になるケースが生まれます。
粗利10%ルールは、利益確保・人件費維持・販促投資・設備投資のすべてを無理なく回すための“経営バランス指標”です。特に飲食業では、粗利がそのまま人件費・光熱費・販促費を支える源泉となるため、この粗利基準で家賃を判断することが、長期的な収益性と再投資余力を高める鍵となります。売上ではなく、粗利で判断する。これが今の時代に合った、失敗しない物件取得の新基準です。
