「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
マネジメントを現場に落とし込む際、最初に行うべきことは「公式を理解させること」です。売上=客数×客単価、平均時給=人件費÷労働時間──飲食店経営は、突き詰めればシンプルな数式で成り立っています。算数と同じで、公式を知らなければ問題を解くことはできません。つまり、数字の構造を理解していない状態では、どれだけ努力しても成果の原因を説明できず、改善の方向性も見えなくなります。
多くの管理職や店長は、経験や感覚で判断しがちです。「なんとなく忙しい」「人が足りない」「原価が高い気がする」といった曖昧な感覚では、問題の本質に辿りつくことはできません。偶然うまくいくことはあっても、再現性のある成果にはつながらないのです。
たとえば、売上が落ちているときに「客数が減ったのか」「客単価が下がったのか」を分解できなければ、打つべき施策は見えてきません。人件費が高いときも、「シフト過多なのか」「売上不足なのか」「生産性が低下しているのか」を公式に基づいて分析することで、原因を正確に特定できます。公式を理解していれば、数字の動きを論理的に説明でき、対策も具体的になります。
店長のマネジメント教育における出発点は、この「経営公式を理解する力」を身につけさせることです。公式を知り、意味を理解し、数字を読み解けるようになれば、感覚ではなく“根拠のある判断”ができるようになります。そこから初めて、原価管理・人件費管理・売上分析といった実務が正確に機能し始めます。
経営の現場を数字で語れる店長を育てること──それが、組織の再現性を高め、安定的に成果を生み出すマネジメント教育の第一歩なのです。
