「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
社員の誕生日やご家族の記念日を把握することは、単なる社内イベントではなく、人事管理において非常に重要な意味を持ちます。なぜなら、社員が安心して働ける背景には、家族の理解と支えがあるからです。どれだけ職場環境が良くても、家庭が不安定であれば社員のパフォーマンスは発揮されません。逆に、家族が前向きに日々送り出してくれることで、社員本人は安心して仕事に集中できるのです。
仕事の満足度は職場環境だけでなく、「家庭からの支え」によっても大きく左右されます。そのため、企業は社員本人だけでなく、家族を含めた視点で満足度を高める取り組み──FS(ファミリーサティスファクション)──を意識することが大切です。これは、従業員満足度(ES)をさらに深めた考え方であり、「社員を支える家族の満足が、社員のモチベーションを支える」という考えに基づいています。
具体的には、社員の誕生日や結婚記念日、お子さんの入学や卒業といった家族行事を把握し、ささやかでもメッセージやギフトを贈るといった取り組みが効果的です。また、長時間労働の抑制や休暇取得の推進など、家族との時間を確保できる制度設計もFSの一環といえます。こうした配慮が「この会社で働き続けたい」という安心感につながり、定着率やエンゲージメントの向上を実現します。
さらに、社員一人ひとりの背景を理解するために、5つの柱(仕事・健康・生活習慣・家族・価値観)を中心にした「人事カルテ」を作成することも有効です。これにより、面談や評価の際に個々の状況を踏まえたサポートが可能になり、単なる数字管理ではなく、人を“支える人事”が実現できます。
FSの視点を経営に取り入れることは、単に温かい組織づくりにとどまらず、社員と家族の両方を幸せにする「持続的な人事戦略」なのです。
