「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
歩留まりとは、仕入れた原材料のうち最終的に販売できる可食部分の割合を指します。仕入れた食材がすべて商品として使えるわけではなく、皮や芯、脂身、骨などの廃棄部分を除いた「実際に使える部分」が歩留まり率です。この数値を正確に把握することが、原価管理の基本になります。
たとえば、キャベツ1個を200円で仕入れた場合を考えてみましょう。可食部分が80%しかないとすると、200円 ÷ 0.8 = 250円。この250円が「歩留まり単価」です。さらに、このキャベツ1個が1kg(=1000g)だった場合、1gあたりの単価は 0.25円 となり、これを「レシピ単価」と呼びます。このレシピ単価が、実際に料理一皿あたりの原価を算出する際の基礎データになります。
すべての仕入れ食材は、「仕入単価 ▶︎ 歩留まり単価 ▶︎ レシピ単価」というプロセスで管理されます。たとえば肉類であれば脂身や筋を除去した後の正味重量、野菜であれば皮むき後の重量、魚であれば三枚おろし後の可食部分など、実際に提供できる量を正確に数値化することが重要です。
この歩留まりを軽視すると、理論原価と実際原価の乖離が大きくなり、原価率が安定しません。逆に、すべての食材で歩留まり率とレシピ単価を明確にしておけば、メニューごとの理論原価が正確に算出でき、仕入れの適正化や価格設定、利益計算の精度が大幅に向上します。
つまり、「歩留まり単価」と「レシピ単価」まで正確に算出し管理することこそが、原価管理の出発点であり、飲食店経営における数字の正確さと利益体質を支える最も重要な基礎なのです。
