「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
QSC(品質・サービス・清潔)の運用で最も重要なのは、単なるチェックや点数付けで終わらせないことです。目的は「評価すること」ではなく、「改善と成長を全社で共有すること」にあります。そのために必要なのが、評価の高い店舗の取り組みを“ベストプラクティス”として展開していく仕組みです。
高得点を獲得している店舗には、必ず明確な理由があります。たとえば、清掃の工夫ひとつを取っても「清掃表の管理方法」「担当制のルール化」「閉店後のチェックリスト運用」など、成果につながる具体的な行動があります。接客では「お客様への一言」「目配り・気配りのタイミング」、調理では「仕込みの精度」や「提供スピードの最適化」など、日常業務の中に多くの成功要因が隠れています。
これらの優れた取り組みを抽出し、マニュアル・社内研修・共有会議などを通じて他店舗に展開することで、全体のQSCレベルを底上げできます。単に「良い店が褒められて終わる」状態ではなく、「どうすれば他の店舗も同じレベルに達するか」を具体的に学べる環境を整えることが大切です。
こうしたベストプラクティスの共有は、店舗間の健全な競争と学びを促進します。スタッフ同士が「もっと良くしよう」と刺激し合い、自然と改善サイクルが生まれます。その結果、全体のQSC水準が継続的に高まり、ブランド全体の信頼向上にも直結します。
つまり、QSCとはチェックシートを埋めるための仕組みではなく、「良い取り組みを全社で共有し、再現性のある仕組みに変えるためのプラットフォーム」なのです。ベストプラクティスを見える化し、全員で成長を共有する文化こそが、強いブランドを育てる原動力になります。
