「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
1店舗の社長がまず直面するのは、「どうやってお客様を呼ぶか」という集客の課題です。立地条件、広告戦略、SNSの活用など、あらゆる手段を試しながら売上をつくることが最優先になります。最初のステージでは「商品やサービスの魅力をどう伝えるか」がすべてであり、経営者自らがマーケターとなって行動することが求められます。
しかし、店舗が3店舗規模になると状況は一変します。今度は「人材の質」に悩まされる段階に入ります。アルバイトや社員の採用・教育が追いつかず、離職や入れ替わりが頻発すると、安定した運営が難しくなります。このステージでは「採用と育成の仕組み化」が最大のテーマです。現場を支える人材をどのように採用し、どのように育て、どのように定着させるかが成長のカギになります。
さらに10店舗規模になると、社長一人の目が届かなくなり、次に課題となるのは「管理職の力量」です。店長やマネージャーが育っていなければ、店舗間でサービスや品質にばらつきが生まれ、組織の統一感が失われます。ここで重要なのは、「任せられるリーダー」をどれだけ育成できるかです。経営者が現場の細部にまで介入するフェーズを卒業し、リーダーに権限と責任を委ねることができるかが、成長スピードを左右します。
そして30店舗を超える段階では、また新たな壁が立ちはだかります。人材の登用や多様化に伴い、社内文化が乱れやすくなり、「離職率」が大きな経営課題となります。同時に、個人の努力や属人的な判断では限界を迎え、全社員の成長を支える「評価制度」や「人事の仕組み」の整備が不可欠になります。理念の浸透や企業文化の統一、評価基準の明確化と公平な運用ができるかどうかが、企業の持続的な成長を決定づけるのです。
つまり、店舗数の拡大に比例して社長の悩みは「集客 → 採用 → 管理職育成 → 人材登用と文化の乱れ・離職率・評価制度」へと移行していきます。経営課題は常に次のステージへと進化していくのです。だからこそ、これらの課題に先回りし、打ち手を準備しておくことが、持続的成長を実現する唯一の道なのです。
