「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
飲食店におけるシフトは、単なる勤務表にとどまらず、企業の成長段階に合わせて進化していくものです。最初の段階は「シフト表」。これは誰が何曜日の何時に勤務するかが分かるだけのもので、アルバイトにとっては自分の勤務時間を確認し、収入を計算する「収入予定表」としての役割が強い段階です。この段階では、シフト作成の目的は勤務の調整にとどまり、経営管理の観点はまだ反映されていません。
次のステップとして導入されるのが「作業割り当て表」です。ここでは単なる勤務時間の記載に加え、一人ひとりに作業やポジションが具体的に割り振られます。たとえば、開店準備は誰が担当するのか、ピークタイムにドリンクを誰が回すのか、締め作業を誰が担うのかまで明確になるため、現場の業務効率が格段に向上します。役割が明確になることで責任感が生まれ、教育訓練もしやすくなり、結果としてサービスや品質の安定にもつながります。
そして最終段階が「稼働計画表」です。これは単なる人の配置表ではなく、予算や人件費率、当日の売上目標、必要戦力の配置、さらには作業割り当てまでを盛り込んだ高度な管理表です。つまり、経営数値と現場オペレーションを結び付け、現場の動きを経営視点でマネジメントすることを可能にします。この段階に到達すると、シフトは「数字を生み出すための設計図」として機能し始めます。
特に企業が3店舗を超える規模に拡大した段階では、この2段階目である「作業割り当て表」の導入が不可欠になります。ここを乗り越えて初めて人件費率が安定し始め、無駄のない効率的な運営が可能になります。逆にいえば、単なるシフト表のままでは人件費のコントロールは困難であり、教育訓練の仕組みづくりやQSC(品質・サービス・清潔)の安定にも直結しません。
つまり、シフト管理の進化は単なる表の形式の変化ではなく、企業基盤の強化そのものなのです。現場を効率よく動かすだけでなく、経営と現場を数字で結びつけるシステムへと進化させることで、企業は初めて安定的な成長の土台を築くことができます。シフトの質が、企業の未来を決めるといっても過言ではありません。
