「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
100店舗を超える規模のチェーンになると、現場の業務はマルチタスクから解放され、一人ひとりの役割はより専門化していきます。
店長も、売上獲得の最前線からは退き、ブランドの維持とFL管理に職務が集約されるようになります。この段階では、人材育成力が重要視され、キャリア志向の社員の人気ポジションは人事や採用に集中する傾向があります。
一方で、組織としては「定着」と「継続力」が重視されるようになり、細やかな管理が得意な人材が評価されやすくなります。かつて売上獲得に燃えていた熱血タイプの店長は、この規模になるとほぼ姿を消し、いわば絶滅危惧種のような存在になっていきます。
もちろん、多くの企業が最初からこの「つまらない状態」を目指していたわけではありません。効率性やガバナンス、社内ルールを整える過程で、結果としてそうした組織構造が形成されてしまうのです。
だからこそ大切なのは、「今の良さを残したまま会社を大きくするにはどうすべきか?」という問いを持ち続けること。
効率化と管理体制の強化は避けられませんが、同時に情熱や現場感覚を失わない仕組みを意識的に残していくことが、成長と文化の両立を実現する鍵になります。
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情熱を失わない組織をつくる3つのポイント
1. 現場裁量を残す
店舗ごとの判断で動ける余地を残し、創意工夫の余地を奪わない。
2. 成功事例の共有文化をつくる
数字だけでなく「どんな工夫で成果を出したか」を全社で共有し、挑戦の価値を認める。
3. 熱量の高い人材を見える化・評価する
売上以外にも、改善提案やスタッフ育成など“情熱の行動”を評価項目に組み込む。
