「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

多くの店長クラス以上の管理職経験者は、単なる報酬ダウンを伴うようなネガティブな転職はまず選びません。

私自身、これまで転職をする際には、ありがたいことに自社の人事評価制度や給与テーブルが存在する中でも、特例としてポスト採用していただくケースがほとんどでした。

後から聞けば、社長自らが人事部や既存社員への調整に動いてくださっていたとのこと。本当に感謝しかありません。

この経験から痛感したのは、給与制度をガチガチに固定化しすぎると、優秀な人材を取り逃してしまう危険性が高いということです。

たとえば、入社時は全員「一般社員からスタート」「店長の給与は◯◯円」といった具合に、制度通りにしか採用できない企業では、目の前に「年収800万円クラスの即戦力マネージャー」が現れても、「制度上、無理です」となるわけです。

これでは、せっかくの人材をみすみす他社に奪われてしまうのも当然です。「なら、結構です」と相手に去られてしまいます。

人材不足が深刻化する現在、皮肉なことに「評価制度」や「給与制度」そのものが採用のボトルネックになってしまっている企業も少なくありません。

そもそも評価制度・給与制度は「処遇を決める仕組み」であり、本来は人材の価値を正しく評価し、適正に反映するためのものです。

しかし、その設計が現実に追いついていなければ、制度自体が既に機能していないと考えるべきでしょう。

制度を守るために人材を逃すのか、人材を活かすために制度を見直すのか。
これからの時代、企業にはこの問いへの答えが問われます。

採用競争に勝ち抜くためには、柔軟性と戦略性を備えた制度設計が不可欠です。