『世界史講師が語る教科書が教えてくれない 保守って何?』(茂木誠)読了。

茂木誠はYoutubeで何本か動画を見たことがあったが、著作を読むのは今回が初め

て(だと思う)。

オレは自分が比較的、保守寄りの考え方の人間だと思っているが、日本という国の

歴史で考えた場合、何を以て保守なのか?と考えることがしばしばあり、本書のタ

イトルに惹かれて購入した。

本書は3部構成になっており、1部でイギリス・フランス・アメリカの西洋史の中で

保守思想がどのように成立したか、また、日本でどのように受容されたか。2部では

大東亜戦後の日本の政治史。3部は日本の保守論壇における代表的な人物の紹介と

なっている。

 

それにしても、保守主義の歴史についての本や動画を見るたび、毎度フランス革命

に対しては、クソみたいな印象を持ってしまうな。

歴史物語として見た場合、フランス革命~ナポレオン戦争の流れはとても面白く、

ナポレオン、フーシェ、タレーランら、癖の強い登場人物も皆揃って魅力的なのだ

が、革命の原動力であるルソーの思想に、いつも違和感を感じる。

大学の頃、知的ぶってルソーの『社会契約論』を読んだ記憶があるが、内容は、ほ

とんど覚えていないが、偏ってるなあと感じた印象だけが強く残っている。

本書を読んで、明治以降に西洋思想が日本に流れ込んできた際、エドマンド・バー

グではなく、ルソーが重要視されたことが、後の日本の歴史に禍根を残したなあ、

と改めて思った。

 

あと、戦後の政治史のところが面白かったな。

茂木氏の語る内容は、「Webでは既に常識的に語られているが、旧メディアでは積極

的に取り上げられない視点」で語られており、例えば、

 

・日本国憲法はGHQの圧力のもとで作られた

・ソ連は日本社会党に政権を取らせるために多くの工作を行った

・ロッキード事件は民族派の田中を葬り、米国に従順な福田・大平政権を発足させた

・冷戦終結後、親米派の後ろ盾が弱くなり、親中派が跋扈し始めた

・中川一郎の死について、三浦甲子二はKGBに「CIAに殺された」と報告した

・中川昭一の酩酊会見の前、財務官僚と読売新聞記者が中川にワインを飲ませた

・2010年の尖閣での中国船衝突事件で犯人を釈放したのはヒラリーの圧力

 

等々が(上記以外のことも色々と)、しれっと書かれており、旧メディアの情報をメ

インに生きている人が本書を読むと、ちょっと驚くかもしれない。

あとオレは中曽根康弘の『自省録』は読んだことが無かったので、徳富蘇峰とのエピ

ソードは初見でとても面白かった。中曽根が勝手に盛ってるだけじゃねえのか?とも

思ったが。

 

全体通じて、面白い本です。

茂木誠が予備校講師ということで(駿台の世界史科)、文章が平明で理解しやすく、

歴史の流れの中でどのように保守思想が変遷していったか上手く整理されており、

入門書として良く出来ていると思う。中学生の息子に薦めてみようと思う(親が薦

めたところで読むか分らんが)。