『新論』(会沢正志斎)読了。
元々は、文政8年(1825年)に会沢により述作されたものだが、当時は内容的に公の
出版はされなかった。だが、門人たちの書写によって広まり、幕末の尊王攘夷運動に
影響を与えたとされている。
今回、オレが読んだのは講談社学術文庫から発売されているもので、関口直佑(早稲
田大学研究員)による訳注がついている。『新論』の章ごとに、読み下し・現代語訳・
語釈の順に記載されている。オレの能力では読み下しでも難しいので、専ら現代語訳
を読み進めた。
オレはこれまで、会沢正志斎の名前や『新論』の書名については、歴史関連の書籍等
で知ってはいたが、『新論』そのものを読んだことは無かった。
ただ、昨今の世の中の状況を見ていて、今後の日本では攘夷の思想が再び大きく扱わ
れるようになるのではと思い、まずは本書を手に取ったというわけ。
本書は「国体(國體)」「形勢」「虜情」「守禦」「長計」の5章からなっており、ざっく
りした内容は、まず「国体(國體)」で日本の国柄について述べ、「形勢」では世界
情勢を述べる。「虜情」で日本が海外から狙われる状況について説明し、「守禦」で
は国防策が示される。そして「長計」では、過去の歴史から国防のための心構えを
記している。
そして本書の感想だが、とても面白かった。
本書ではかなりの力点を置いて語られる國體という概念は(本書5章のうち、「国体」
のみ上中下に分けて記載されるボリューム)、大東亜戦後の日本では否定され、現在
では公の場所では余り語られることが無いが、国民が一致団結しようという大枠の
考えは間違いではない。また本書で語られる世界情勢については、当然のことなが
ら誤解に基づいた部分もあるものの、幕末期に得られる断片的な情報を基にまとめ
たものと考えれば、大したものだと思う。
結論として、本書には現在の視点から見れば違和感を指摘される箇所はあるものの、
本質の部分は全く色褪せておらず、むしろ今の世の中で、もっと重視した方が良い
本ではないかとの感想を持った。外国との友好・協調は大切なことだが、まず何か
起こった時には自主防衛が出来る準備と心構えが大切という当たり前のことが述べ
られている、大変良い本だった(あと、本書では日本を侵略しようと近づいてくる
外国人に媚びる日本人の姿についても描かれているが、これが現在の媚中日本人に
そっくりで笑ってしまう)。
水戸学の大まかな内容については知っているつもりだったが、まだまだ知らないこ
とは多い。関連書籍をちょっと探してみようかな。