外貨建て生命保険という商品があります。生保は国内の国債金利が0%だから国債で運用できなくなったため、アメリカの国債など外債で運用する保険を作った。アメリカの金利は年利4%以上だから利回りは高い。さらに日本の長期金利は0%のため、日本円での運用をあきらめて米ドルにマネーが移動したこともあり円安が極端に進んだ。しかしこの円安は外貨建て生命保険には運用上の大きなメリットとなった。だからここ数年の間に外貨建て生命保険で大きな運用成果を得たお客様は多い。そこで生保はあらかじめお客様が運用の成果の目標(例えば120%とか)を定めたら、その水準を達成したときにお客様に連絡するという機能を設定した。その連絡を受け取ったお客様は多く、お客様はその時点でいったん解約して利益分を確保したうえで、改めて加入するというパターンが増えた。このことについて金融庁は「そんなことはいかん! 」と怒った。なぜかというと「回転売買を煽って金融機関が余計に販売手数料を稼いでいるのではないか」というのが金融庁の言い分だ。
そういう見方をしたのであれば確かにそういう一面もある。しかしお客様にしてみればなんの損害もない。むしろ利益を確保しておくという意味ではとてもありがたい仕組みなはず。でも金融庁はダメだというのでこの仕組みは外される。しかし金融庁の言っていることは誰の立場なのか全く理解できない。
こうして米国金利の高利回りや円安のメリットを個人が運用成果として取ろうとする行為を金融庁は禁じてしまった。それで「預金よりも投資をしよう」などと言っているのがおかしくて仕方ない。
役所がいちいち口を挟むような金融制度は誰のためにもなっていない。強いて言えば、金融庁が責任を取らされるのを避けているだけのようにしか見えない。