私の趣味遍歴(旅と地理) その19 近畿編 京都府 | 今、私が考えていること

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毎日の出来事を、新聞やネット上の記事からピックアップして、私なりの意見などを書き綴ります。

今回はいよいよ京都です。京都に関しては今さら私が観光案内するなど全くもって野暮ですので、ネットの観光案内等をご覧いただくとして、今回は京都のビジネス風土について書かせていただ

こうと思います。基本的に私の体験がベースですが、それに関連して多くの関西人、京都人の方々からのアドバイスなども加味した、あくまで私の個人的な見解だと思って下さい。

 

 

 

 

私は銀行や生保という仕事でしたから、金融関係のビジネスが中心です。その場合に京都支店というのは独特の雰囲気をもって見られがちです。簡単に言えば「商売が難しい」ということです。

 

京都の人は「有名なメガバンクよりも近所の信金さん」を選びます。そのせいか京都の信用金庫は全国的にも規模が大きいです。

東京に本店のあるメガバンクだと、京都支店長とか、京都支店への異動内示が出ると複雑な気持ちになります。業績を上げるのが非常に難しいからです。

 

そのことを端的に表す話をします。

私が生保に勤めて資産運用商品として投資信託をお客様に勧める仕事をしていた時の話です。京都支店のマネージャーが熱心で、よくお客様向けの資産運用セミナーを企画し、私は何度も講師に呼ばれて行きました。証券会社とは違って、お客様は投資に特別詳しいわけではないので「投資信託の入門」のような話をしていたのです。

 

これは全国あちこちで開催していたのですが、なぜか京都は他の支店よりもお客様がたくさん集まります。多分、職員さんたちの勧誘も熱心だったのだとは思いますが、こういうセミナーに20人以上集まっていたので十分に成功と言えます。講師の私も大変気持ちよく毎回お話をさせていただきました。

 

ところが、回を重ねていくうちに「おやっ?」と気づいたことがあります。それは、毎回多分同じ人が参加しているのではないか? あの人確か先月も来ていたような・・・。

そこで職員さんに聞いてみたところ、やはり三分の一くらいは常連さんだと言う。「常連さん」・・・、はて? 毎回同じことを話しているのになぜ常連さんが付くのだろう。職員さんは「熱心に勉強されてはるんとちゃいます?」と言います。なーるほど。

 

いつもセミナーが終わった直後に、お客様からの個別相談会というのをやっていました。相談会というよりは、商談会みたいなものです。ですからこちらとしては何とか投資信託を買っていただけないかと期待するわけです。この個別相談会にも京都のお客様は毎回何人か希望されます。これは他の地域より多いのです。

熱心に勉強されているのだから当然か、と思いますよね。

 

と・こ・ろ・が違うんです。京都のセミナーに参加されたお客様でうちの会社から投資信託を買われた方は一人もいません。相談会までして懇切丁寧に説明しても、「また考えときます」と言って帰られますが、その後買ったという話はないのです。

 

でも京都のお客様は物腰が柔らかく、言葉も柔らかいのでとても好意的に受け止めてしまいます。しかし実際はとても厳しい。

地元志向が非常に強いので、よそ者からは絶対に買わないようです。銀行の人から聞いた話ですが、京都地区の支店長には京都の大学を卒業した人でないと務まらないそうです。例えば同支社大学、立命館大学などです。ただし、京都大学は例外です。京大出身の人は京都を顧みないから京都の人からは嫌われるのだそうです。つまり地元密着度の問題の様です。ですから私みたいにセミナーのために新幹線で東京からやって来て、標準語でペラペラ話すような男からは買わないのです。

 

郷に入っては郷に従え、ではありませんが、その土地の風土のようなものも仕事をする上では重要なことです。