日銀の罪 | 今、私が考えていること

今、私が考えていること

毎日の出来事を、新聞やネット上の記事からピックアップして、私なりの意見などを書き綴ります。

「東京の分譲マンション価格の平均が1億円を超えた。」

このフレーズ、昔も何処かで聞いた記憶があります。それはバブル経済に沸いていた1989年頃です。当時私は武蔵野市の社宅に住んでいたのですが、そろそろ自分の持ち家を買おうと、中央線沿線で新築マンションを探していました。しかし三鷹駅からバスで20分の築10年の中古マンションでも軽く1億円超えでしたから私には到底買えません。中央線沿線で3000万円台のマンションを探して行くと終点の高尾駅を超えて大月や相模湖辺りまで行かないと買えませんでした。仕方なく東京は諦めて埼玉県を探すことにしたのです。

 

今の状況はあの当時と似ています。それは後に「不動産バブル」と呼ばれ、1990年に日銀が金利を一気に(わずか1年足らずのうちに3.75%から6%へ)引き上げることによってあっけなく終わりを告げました。ただしこの時の金利の引き上げ幅があまりに大きかったことから、銀行からの借入金で株や不動産へ投資していた投資家や企業、一般個人が皆投資を止めて売却に走ったのです。その結果、株式相場も不動産相場も大暴落し、いわゆる「バブル経済崩壊」という経済パニックを引き起こしたのです。

 

その背景には、冒頭に書いたような不動産事情が次第に大きな社会問題化し、マスコミはその原因として日銀の低金利政策をやり玉にあげていました。当時の三重野日銀総裁はその圧力に押され

る形で大幅な金利引き上げ(金融引き締め)を敢行した形となったのですが、これがその後の「失われた30年」のきっかけだったわけです。私は、この時の日銀の金利政策は明らかな間違いだったと思います。こんなハードランディングさせる必要はなかったのだ。

 

このことは後に海外では「バブル経済対応の悪しき例」として広まり、「日本の二の舞だけは避けろ」と言われてしまったのです。ですから現在の植田日銀総裁は非常にナーバスになっています。ただし、昔のバブル崩壊の時とは異なり、現在、金利引き上げで困るのは国と日銀です。国は金利が上がると国債の利払い額がふえるてしまい財政難に陥る。日銀は600兆円近く抱えている国債の評価額が値下がりし、債務超過に陥るリスクが大きいからだ。しかし金利を上げないと金融市場は正常化しないし、日米金利差が縮まらないから円安が続いてしまう。これは深刻なジレンマに陥ってしまいました。