私は元銀行員でしたが、銀行を辞めて25年がたち、すっかり一般人になり切りました。そこで今の私の目から見た銀行の問題点を少し書きたいと思います。
まず第一に苦言を呈したいのは、ATM手数料と送金手数料のこと。客が自分の金を引き出すのにいちいち手数料を取るという理屈がわからない。窓口で女性行員さんがお金を揃えてきて渡してくれるのならまだしも、今はATMという機械がやってくれるのだから、1回に何百円もコストがかかるわけがない。金利が0.001%しか付かないのに、手数料が何百円も取られたら赤字ですよ。しかも夜間や休日はお休みなんていうのはどういう理屈なのだ。ネットで買い物をしても銀行の口座から支払おうとすると週明けでないと先方に着金しないから、当然品物が届くのはそれ以降になってしまう。
たとえばPayPayなどの電子マネーなら手数料なしで即時振り込めると、支払ってくれる。だからわざわざ手数料を払って銀行の送金なんて利用するのはおかしい。そもそも日本人は未だに現金至上主義という妙な価値観にとらわれすぎている。
もう一つは、国が投資を国民に勧めているのに、銀行は「元本保証」へのこだわりが抜け切れていない。私は今、銀行の支店を回って、不動産小口化商品をお客様に紹介してほしいと営業しているのですが、その際に必ず言われるのは、「でも地価が下がったら元本割れてしまいますよね・・・」
「そうですよ、もちろんリスクはあります。」と私が返答すると、「そりゃ難しいですよ、お客様は嫌がりますから」いったいぜんたい何十年前の話をしているんだ、と呆れてしまいます。
銀行はそんなこと言いながらも仕組債とかバンバン売っていたじゃないか。と言い返してやりたくなります。
銀行員が相変わらずこんなこと言っているようでは、日本人に投資なんか根付くはずがない。資産運用というのはリスクがあるのが当たり前。リスクを取るから利益が得られる。私はそう思うし、昔、セミナーでお客様にはそう説明していました。
確かに昔は1年定期預金の金利が年8%という時代もありました。でもそれは金融自由化以前の時代で、固定金利制だったころの話。銀行というところは全然進歩していない。このままでは日本にとって銀行は足かせになってしまう。
