学校給食を提供するホーユー(HOYU)という会社が経営破綻し、全国各地で学校の児童や生徒たちが給食を取れなくなったというニュースが出ています。このニュース、実はとても深刻な問題を提起しています。この会社は最近の物価高で食材が高騰し、その分を価格に転嫁できないために赤字が広がり事業の継続を断念したという。価格に転嫁といっても学校に対して値上げを申請したということなのだが、学校側が買い叩いて受け付けなかったと言うのが実情のようだ。現実に物価はかなりのスピードで高騰しており、それに伴って食材費、人件費、運送費などの給食コストがかなり上がっていることは事実。だから値段を上げざるを得ない。給食は一般に小売りしているわけでもなく学校の指定業者なのだから、学校に拒否されたら潰れてしまうのは当然だ。学校が「買い叩く」というのは何を根拠にしていることなのか?

今の日本はコスト切り詰めが金科玉条のごとく叫ばれていて、馬鹿の一つ覚えのように、猫も杓子も買い叩いて安く買おうと躍起になっているが、もう30年以上もそんなことをひたすら繰り返してきた結果、ついに底が割れてしまったというのが実態だと思う。これ以上買い叩いたら、給食はろくな食べ物を出せなくなるのは当たり前だ。子供たちにこんなにもひもじい思いをさせてまで買い叩くのは誰のためなのだ?
私がいつも言っていることなのだが、コストを削って採算を取ろうとする、いわゆる縮小均衡は現実には危険なのだ。なぜなら、今回の給食問題のように限界があるからだ。「国破れて山河あり」ではないが、「生徒困窮して学校あり」を地で行くようなことになる。
給食費を値上げして、給食業者にちゃんと対価を支払え。学校は利益団体じゃないんだから学校が潰れることは無い。その分は生徒の親が負担することになる。確かに親にすれば辛い所だが、仕方ないでしょう。結局、親の賃金が上がらないことが全ての諸悪の根源なのである。30年以上前に起こったバブル崩壊。そこからの過程で企業を潰さないようにという目的で採られたゼロ金利政策や異次元の金融緩和策で歪んでしまった金融財政のひずみが、結局今になってもっと大きな負担となって我々の背中にのしかかっている。
われわれ日本人は中国経済の崩壊を高みの見物している場合ではない、日本企業の大半が中国との貿易に依存している以上、中国経済の破綻は即、日本経済の破綻に直結する。日本経済の方が中国よりも数倍ヤバイ状況なのだ。岸田首相はアジアに出掛けて行って偉そうに援助資金をバラまいているけど、近い将来、日本の首相がアジアの国々に借金をお願いしに行くことになりはしないかと心配だ。
アメリカは内需で経済が回っていて中国や日本に依存しているわけではないので立場が強い。日本も昔、内需主導の経済を目指していたことがあったが、国民の賃金をケチったのでいつまでたっても実現しない。私は提言したい、今すぐ賃金を最低2倍以上に引き上げなさい。本来失われた30年間に毎年普通に賃金が上がっていたら、現在の賃金はそのくらいの水準になっていたのだから。国民が本来受け取るべきだった賃金を、国民に戻してほしい。そうすれば日本経済は大きく変わるはずです。国民の収入が増えれば物が売れるようになるから企業も喜んでモノづくりに励む。その結果、雇用も増えて多くの国民がもっと収入を得られるようになる。良い循環が始まるのです。