朝ドラ「らんまん」のこと | 今、私が考えていること

今、私が考えていること

毎日の出来事を、新聞やネット上の記事からピックアップして、私なりの意見などを書き綴ります。

「らんまん」は時代が明治初期ということもあり、ほとんど時代劇を見ているような印象です。牧野富太郎氏はこんなに凄い植物学者なのに、なぜか私は学校で習いませんでした。ですから話そのものが新鮮で驚きの連続です。

 

今週はついに万太郎(牧野富太郎)が東京大学に乗り込むシーンです。見ていると「東京大学」「小学校中退」という言葉がやたらと出てきます。つまりそれは「小学校もろくに出ていないくせに東大に来るなどもってのほかだ」と言うことの様です。今の時代なら差別であり、パワハラとも受け取れかねない不適切な発言を主人公に浴びせます。

 

こういう発言の根拠がどこから来るのかと考えてみました。(以下は私の個人的な理解です) 

もともと東京大学は国家の為に作られた国立大学で、欧米の技術や知識を導入するための人材を養成する大学として存在していたため、大学の職員らは自分たちも国の使命を請け負う上級役人と認識していたからだと思います。

 

そもそも日本の明治維新は欧州のフランス革命のような市民による王制打倒という市民革命ではなく、徳川幕府を運営する徳川一族に対する薩長連合によるクーデーターでしたから、日本は武家社会的な統治が終わらずに近代化の道を歩み始めました。だから全てが明治政府による国家主導だったわけです。これは民間の資本が無くても国の予算でどんどん進められるというメリットがありますが、画一的な進め方に偏るリスクもあります。それは軍備の拡張でした。富国強兵。おかげで日清戦争、日露戦争と勝利をおさめ、瞬く間に世界の列強と肩を並べるアジアで唯一の軍事強国となりました。

 

 

 

 


 

その後日本は中国に満州国を樹立し中国へ進出していきました。しかしこのことが欧州列強より遅れて中国進出を目論んでいたアメリカにとっては面白くないため、日本が邪魔になりました。

 

アメリカは日本への石油輸出制裁などの経済制裁を発動し、日本を追い詰めます。日本はアメリカとの経済交渉を重ねますが、はなから譲歩する気のないアメリカは執拗に日本をいじめました。そして遂に「窮鼠猫を噛む」、日本は真珠湾攻撃でアメリカに宣戦布告します。これはある意味でアメリカの罠でした。

 

日本は「大東亜共栄圏」という中国、東南アジア、南太平洋を対象とする広大なアジア地域の統合という大義名分に基づいて、石油などの資源を求めて東南アジアに進出していきます。その結果アメリカとの戦争は南太平洋全体に広がっていったのです。

 

しかし日本はアメリカに負けて無条件降伏しました。ここで日本の軍備拡張に偏った近代化の流れは終わります。戦後は民間企業が主体となって民生用の産業技術が目覚ましく発展し、「ジャパン アズ ナンバーワン」と言われるまでに成長しました。ですから現代の日本は民間の努力によって築かれた経済大国です。

 

「らんまん」で描かれている東京大学の威張った職員たちは、こうした歴史的な変遷の過程として登場しているのだと私は理解しました。