先日NHKが、松本隆の作詞家生活50周年記念のトリビュートアルバムを出すことを記念する特別番組を放送しました。松本隆は1970年代から1980年代に歌謡曲の代表的なヒット曲を数多く世に送りました。番組では、その中からいくつかの曲を取り上げていたのですが、私はKinki Kidsの「ガラスの少年」という曲に、改めて深い感銘を受けました。この曲は何度も聴いたことがあるのですが、作詞家の松本隆がどのような気持ちで詩を書いたのか、この曲が誕生した秘話なども聞くと、今までとは違った聴こえ方がしてきたのです。新宿発の長距離バスの乗り場で、悲しい恋人との別れのシーンを謳った曲だということは知りませんでした。そのことを知ったうえで改めてKinki Kidsの歌唱で聴くと、私がその場所に居て、そばで見ているような、否、私がその悲しみの本人になっているような気持になって来るのです。歌謡曲と言えども、ただの流行り歌ではなく、人生の大事な一コマをドラマのように歌い上げるところに、聞くものを惹きこんでいく。それは本当に素晴らしい体験なのだと思いました。