先ず、下記の文章を読んでそのニュアンスの差異を言えますか?
1. 象は鼻が長い
2. 象が鼻が長い
3. 象は鼻は長い
4. 象が鼻は長い
5. 象の鼻は長い
6. 象の鼻が長い
我々日本人であれば、瞬間的に何となくその文章の差異は理解します。例えば、3については、『象と言う動物は、鼻は長いけど、尻尾や足は短い』みたいなニュアンスですね。しかし、5についてはどうですか?『象の鼻は長い動物です』と単純に象の特徴のみを言っているのです。
同様に、日本語にはこの様な文法があります。“な形容詞”、“い形容詞”です。皆さんは覚えていますか?私は恥ずかしながら正直この存在すら知りませんでした。正確には小学校で勉強したのでしょうが、全く記憶にございません(笑)。
1、 綺麗な(な形容詞)の否定形⇒綺麗じゃない(或いは、綺麗ではない)
2、 新しい(い形容詞)の否定形⇒新しくない
要するに、“な形容詞”の否定形は+じゃない(ではない)を付加、“い形容詞”の否定形は+くないを付加します。中華系人で日本語をある程度話す方で、『綺麗くない、とか、新しじゃない』と言うひとがいます。勿論、私は聴いて理解をしますが、実は文法を正しく理解していないわけです。
私は今年の1月から台中の台湾ローカル会社で週に1回ですが、会話教則本(初級)を使用して日本語教室の講師をしています。
ところが台湾人に“は”とか“が”とかの違いや形容詞の区別を説明するとなると、私は日本語学科や教育学部教師過程卒ではないので非常に困ります。そもそも、普段は母国語の文法なんか気にも留めないのが普通だと思います。
この日の単元に全然~否定詞が出て来ました。正しい日本語文法ではその通りですが、現代人の口語ではこの文法は、(私は嫌いですが)無視されています。TV番組を拝見していると『全然美味しい!』と叫んでいる芸能人のなんと多いことか!
その為、正しい文法ではNGですけど、現代語ではOKと教えるのか、その取り扱いに困ります。
困る:ら行五段変格活用
コマラナイ(ない形)、コマリマス(ます形)、コマル(トキ)(原形)、コマレ(命令形)、コマロウ(意向形)。
はて?私自身、日本語教室の目的は一字一句正しい文法で翻訳したり、通訳したりする者を育成する事ではなくて、日本語会話にそこそこ興味を持ってくれればそれで良しと思っているのですが…一体どうしたものか?