〓筑波書房 書評情報〓(日本農業新聞 2024年6月9日号 書店へいらっしゃい)『大豆の政治経済学』張馨元・八木浩平・林瑞穂 編著 税込価格 3,850円+税→(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784811906744)、『フードレジーム論と現代の農業食料問題』ヘンリー・バーンスタイン 他著 磯田 宏 監訳 税込価格 2,200円+税→(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784811906683)
【書評内容】
近年、大豆(豆腐、納豆、みそ、しょうゆなどの原料)の輸出量が多い国は、ブラジルと米国です。また、主要な輸入国・地域である東アジアの中国、日本、台湾、韓国の世界の大豆輸入量に占める割合は、63%に上ります。
小麦やトウモロコシに対する生産保護や貿易規制が複雑であるに対し、東アジアの主要国は大豆とその関連加工品の生産と貿易に対する規制を緩和しています。
フードレジーム(食料需給量の観点から世界経済の構造を読み解く概念)は植民地主義を背景として英国で始まり、20世紀
に入ると植民地主義が衰退し、一方で米国の支配が到来し、近年のグローバリゼーションの浸透と相まって、複雑な様相を呈してます。
そんな中、世界の大豆需給、日本の大豆加工業の実態、中国、台湾、韓国の大豆需給体制、ブラジルでの大豆生産の現状などについて書かれた本、張馨元・八木浩平・林瑞穂 編著『大豆の政治経済学 フードレジームの視点から』(筑波書房。3,850円)が売れています。
中国が主要穀物の中で大豆だけ輸入自由化に踏み切ったのは、東アジアの先進国である日本や韓国の食料自給と穀物貿易体制の歴史から学んだと考えられます。
最近の中国における大豆の輸入量と消費量の急増は、同じく新興国であるブラジルでの大豆の増産と輸入拡大によって支えられています。
ほかに、ヘンリー・バーンスタインら著『フードレジーム論と現代の農業食料問題』(筑波書房、2,200円)も売れています。