【 今後の金融行政の方向性 】
2024/1/12、栗田金融庁長官から、「今後の金融行政の方向性」が、発表された。
https://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/commissioner/240112.pdf
以下は一部抜粋。
< 今後の金融行政の方向性 >
2023事務年度 金融行政方針 2023年8月公表(P1)
1.経済や国民生活の安定を支え、その後の成長へと繋ぐ
2.社会課題解決と経済成長を両立させる金融システムを構築する
・コーポレートガバナンス改革の実質化や企業情報の開示の充実に向けて、大量保有報告制度の見直しや非財務情報の開示の充実、四半期開示の見直し等を推進する。
・サステナブルファイナンスを推進するため、企業のサステナビリティ開示の充実やGXに向けた産業と金融の対話の促進、インパクト投資の推進等を図る。
・デジタル社会の実現に向け、フィンテック事業者の参入促進やデジタルマネー・暗号資産等に関する環境整備に取り組む。
3.金融システムの安定・信頼を確保する
・金融機関の持続可能なビジネスモデルの構築に向け、ガバナンス、各種リスク管理態勢等、内部監査等についてモニタリングを行い、経営基盤の強化を促す。
・利用者保護の観点から、金融機関に法令等の遵守の徹底を求める。
・マネロン対策等やサイバーセキュリティ、経済安全保障、システムリスク管理について、世界情勢等を踏まえた対応を促す。
I.資産運用立国の実現 ~コーポレートガバナンス改革の実質化~(P10)
■コーポレートガバナンス改革の実質化
・コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」(2023年4月公表)を踏まえ以下を進める。
・資本コストの的確な把握やそれを踏まえた収益性・成長性を意識した経営の促進、
・女性役員比率の向上による取締役等の多様性向上を含むサステナビリティを意識した経営の促進、
・独立社外取締役の機能発揮に向けた啓発活動 等
2.四半期開示の見直し(P17)
■課題
・企業経営や投資家の投資判断においてサステナビリティを重視する動きが見られる中、企業開示において、中長期的な企業価値に関連する非財務情報の重要性が増大
・金融商品取引法に基づく四半期報告書と取引所規則に基づく四半期決算短信には重複がみられ、コスト削減や効率化の観点から見直すべきとの指摘
■対応
中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けた企業開示制度の見直しを実施
・人的資本を含むサステナビリティ情報等の開示の充実[府令改正事項]と併せ、
・企業開示の効率化の観点から、金融商品取引法上の四半期報告書を廃止
金融システムの安定・信頼の確保 ~業態横断的なモニタリング方針~(P21)
【マネーローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の強化】
■マネロン対策等は国際的に重要課題と認識されている。国内でも金融サービスが特殊詐欺等に悪用される例が多数確認。
マネロン対策等の徹底は金融業を行う上での前提条件であること、犯罪に多用される場合は我が国の国際的な信認をも損なうおそれがあることを強く認識した上で、マネロン対策等を早急に講じる必要。
・「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(2021年11月公表)で求めている実効的な態勢整備を金融機関が2024年3月までに完了するよう、業界団体と連携し、フォローアップを行う。
・特に、規程類の整備を含め、実効的な取組の前段階となる部分において進捗に遅れが見られる金融機関には、集中的にモニタリングを行い、期限を意識した着実な対応を促す。
・2024年4月以降の態勢の有効性検証等のため、検査・監督体制のあり方について検討を進める。
3.金融システムの安定・信頼の確保 ~業態横断的なモニタリング方針~(P22)
【サイバーセキュリティの強化】
■サイバー攻撃が一層巧妙化し、金融機関で被害が発生しているほか、検査でも、セキュリティ対策が不十分な事案が確認されている。このため、経営陣のリーダーシップの発揮状況を含め、金融機関におけるサイバーセキュリティ管理態勢について検証し、その強化を促す。課題に対して計画的に対処しているかという観点から、特に、以下の点に関して重点的にモニタリングを行う。
・定期的な脆弱性診断・ペネトレーションテスト等を通じた自社対策の有効性の検証
・演習等を通じたインシデント対応能力の検証が適切に行われているか
・上記を含め、各種検証の結果把握した課題について計画的に対策を講じているか
■サイバーセキュリティ管理態勢の成熟度を評価する点検票に基づく自己評価の実施を地域金融機関、保険会社及び証券会社に求め、自律的な態勢の強化を促す。
■金融庁が主催する金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall 8)を通じ、業界全体の事態対処能力の向上を促す。
(参考)現下の金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall 8)について(P23)
金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall 8)
・2023年10月、 金融庁主催による8回目の「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習」(Delta Wall 8(注))を実施
(注)Delta Wall: サイバーセキュリティ対策のカギとなる「自助」、「共助」、「公助」の3つの視点(Delta)+防御(Wall)
<感想>
主に、1)コーポレートガバナンス(非財務情報の開示の充実、四半期開示の見直し、等)、2)モニタリング(マネロン対策、サイバーセキュリティ管理態勢、等)に関する金融庁長官の「今後の金融行政の方向性」。
特に、非財務情報の充実、マネロン対策については、留意してゆきたい。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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