つれづれログ -27ページ目

つれづれログ

色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

ソフトボーイ (ポプラ文庫)/関口尚
¥546
Amazon.co.jp

佐賀県牛津を舞台に繰り広げられる男子ソフトボール部物語!
破天荒な言動でいつも誰かを巻き込む野口といつも巻き込まれる
常識人・鬼塚。
ふたりを中心にして変てこな9人のメンバーが集まる!
ゆるゆるなのに感動!の青春ストーリー!
俊英・野口尚による文庫書き下ろし。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

6月19日に公開予定の映画のノベライズ本。
地元の佐賀が舞台ということで読んでみた。
あまり牛津と関わりは無いんだけれども…。

いつもはネタバレ満載のこのブログも、映画公開前と言うことで
極力ネタバレ無しの方向性で書こうかと。


地元が舞台ということでかなりの親近感。
実話が元になっている所もよかった。

準主役(?)の野口のキャラクターがとにかく目立っている。
破天荒なんだけど、自然と皆を引き付ける魅力を持っている。
自分勝手なようでいて、人を思いやる気持ちの良い人物として
描かれていた。

破天荒キャラである野口の行動には、ちょっとイラつきを覚える所
もあるけど鬼塚のフォローや、他のメンバーのノリでちょど良い
バランスになっている感があった。

全国大会の試合では、最後まであきらめない姿勢など
スポーツものになくてはならない部分をきっちり押さえている。

意外だけど、無理の無い展開のラストも良かった。
野口、凄すぎw
鬼塚もそのまま目標に向かって堅実に頑張って欲しい。


野口の言うように何事もやってみないと分からないという事は、
分かってはいるけれども、それを実行に移せる人が
どのくらいいるだろうか?

失敗を恐れて結局何もしない人はたくさんいる。
失敗する事で失う物が大きい時、それも懸命な判断だと思う。

でも出来るか出来ないかは置いておいて、ます行動するというのも
時には必要なんだよなぁ。
そうでもしないと得られない成功ってあると思うし。

まぁ、野口は失敗するかもなんて、思ってもいない風な感じはあるけどw


映画も成功するといいなぁ。
ひとりぼっちの王様とサイドスローのお姫様 (メディアワークス文庫)/柏葉 空十郎
¥704
Amazon.co.jp
三年ぶりに帰国し、日本の高校に入学した綾音。
彼女には幼馴染みの巧也と野球をするという目的があった。
そう、甲子園を目指すのだ!
中学時代、巧也はシニ アの世界で活躍し、全国区の有名選手に成長していた。
だが、再会に胸躍らせる綾音の目の前にいたのは、想像していたのとは全く違う巧也だった。
冷淡に「野 球はやめた」と言い捨てる巧也に戸惑いを隠せない綾音。
彼女は巧也に野球をやらせるべく猛アタックを始めるのだが―。
爽快な野球小説の登場。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

う~ん、面白かった。

2人が所属する高校は公立の進学校で、野球部員は10名のみ(1人を除いて全員1年生)という
ある意味ありがちでお約束な設定。

なのでストーリーとしての目新しさはあまり無いんだけど、細かな野球のプレーの描写と
登場人物が魅力的。

僕自身は本格的な野球は未経験だけど、観戦するのは好きだからそれに十分な知識は
あるつもりだったけど、本作を読んで更に観戦を楽しむための知識が付いたように思う。

逆に野球のルールがさっぱりだったり、野球が好きで無い人には不向きな作品かな…。
まぁ、そんな人はこの本を手に取ることはないだろうけど。

主役の2人が魅力的だったのはもちろん、脇を飾る山葉(脇というよりは主役級の活躍だけど)、
岩崎が良かった。

山葉は中学まで陸上部だった野球初心者であるものの、Max156㎞/hの剛球と一発のあるパンチ力、
俊足を兼ね備える規格外の天才プレイヤー。
野球エリートである巧也も、彼の才能を前にして涙目になったほどw
それだけの才能を持ちながら、人物的には嫌味と表裏の無い愛され(おバカ?)キャラという…。
そんな彼は試合でも大暴れ!
活躍シーンでは爽快過ぎてニヤリとしてしまったw

岩崎は唯一の2年生であり、人望のある努力の人。
彼が控えに徹する決意をして1人涙するシーンや、試合中のあきらめムードのナインを
一喝するシーンでは思わず胸が熱くなった…。

ページ数は500を超える厚みのある本なんだけど、試合が1試合だったのがちょっとだけ
物足りない感じ。
その分、その1試合が丁寧に描かれているけれど。

彼らは1年生中心のチームだから、この話の後も成長し続けて、甲子園を目指すんだろうなぁと。
山葉が成長してさらに超人化し、期待の新入生とかも入部して…とか考えているとちょっと楽しい。

公立の進学校が甲子園優勝っていうと、創作の世界の話のようでいて佐賀北高校の例もあるし、
可能性としてはあるんだよなぁ。
ある意味「所詮フィクション」とならない訳だから、世の中の作家さん達はどんどんフィクション作品を
書いていただきたいなぁと思う。
武士道シックスティーン (文春文庫)/誉田 哲也
¥660
Amazon.co.jp

武蔵を心の師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。
敗北の悔しさを片時も忘れられない香織と、勝利にこだわらず 「お気楽不動心」の早苗。
相反する二人が、同じ高校に進学し、剣道部で再会を果たすが…。
青春を剣道にかける女子二人の傑作エンターテインメント。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

剣道に打ち込む女子高生を描いた青春スポーツストーリー。

このGWに映画が公開されていたらしい(全然知らなかった…)。

女子高生と剣道という組み合わせは、ミスマッチなようで「鹿男
あをによし」や
「バンブーブレード」でやっていたのを思い出した。
ミスマッチさが目新しくて作り手に受けるのかもしれない。

作品の最初の頃の香織は現代に生きる修羅と言った感じ。
キャラクターとしては嫌いじゃないんだけど、勝利の為(?)なら部員を傷つけるのも
厭わないのはやりすぎな感があると思った。
物語後半の成長を描くための表現だとしてもなぁ…。

一方の早苗の勝ち負けにこだわらないという考え方には、シンパシーを感じた。
僕自身、人に勝つ事にそれほど喜びを感じるタイプではないし、それを目指す事もあまり無い。
だからといって負けるのが全く悔しくないわけでは無いのだけれど。

香織が剣道を続ける理由を求めていた時の「たつじい」のセリフに、香織の勝負論と
早苗の自己成長重視の姿勢が本質的には同じというのがあってコレが面白かった。

両者とも結局の所は今の自分と何かを比べて、比較対象と比べて優れていたら良し、
劣っていたら駄目だと判断しているという事。

ここでの比較対照とは、香織の場合は他者であり、早苗の場合は過去の自分となる。

素直になるほどなぁと思った。
考え方としては僕と似ている早苗の方が好きだったんだけど、
そう考えると人を競争相手として勝負するのもそれほど悪い考え方ではないなぁと。

僕としては過去の自分と比較するのが性に合っているとは思うけど、
他者は成長し得る存在という面においては、競争するのもいい事だと思った。
切磋琢磨って事ですね。

香織がどんな結論を出すかなぁと思って読んでいたら、出した答えが「剣道が好きだから」
というのも良かった。
当り前と言えば当り前なんだけど、だからこそ見失ってしまうって事があるのも確か。

僕の今の仕事も、ものづくりが好きって事から始めたのがきっかけ。
だからこそ多少キツくても続けていける。
最近忘れてたなぁ、好きだと言う気持ち。
これからも頑張ろう。

早苗の転校という意外な展開があったものの、俺達の戦いは続く!的なキレイな終わり方。
…と思っていたら、続編の「武士道セブンティーン」、「武士道エイティーン」もあるそうな。
是非読んでみたい。