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つれづれログ

色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

誘拐ラプソディー (双葉文庫)/荻原 浩
¥760
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伊達秀吉は、金ない家ない女いない、あるのは借金と前科だけの
ダメ人間。
金持ちのガキ・伝助との出会いを「人生一発逆転のチャンス?」と
ばかりに張り切ったものの、誘拐に成功はなし。
警察はおろか、ヤクザやチャイニーズマフィアにまで追われる羽目に。
しかも伝助との間に友情まで芽生えてしまう―。
はたして、史上最低の誘拐犯・秀吉に明日はあるのか?
たっぷり笑えてしみじみ泣ける、最高にキュートな誘拐物語。

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秀吉がちょっとしたきっかけから誘拐した伝助。
その父親がヤクザの親分であった事から発生したドタバタ劇。

秀吉は小悪党でダメな奴だけど、心の底まで腐っているわけではない。
それが原因で様々な困難を抱えた3日間を過ごすことになるんだけど。

伝助の父親、篠宮はヤクザで本物の悪党なんだけど、子供を愛する
気持ちは普通の親父。

チャイニーズマフィアのボス、王宗華も悪い奴なんだけど、最愛の
息子の存在が原因で、殺すために捕えた秀吉達を逃すことに。

悪い奴らも根は普通の人間的な心を持っているんだというお話である
ように思った。

他にも組のメンバーの関係性、秀吉をかばう親方や、自分の息子が
事件の関係者になったとしった途端に冷静さを失う刑事など
人と人との関わりが印象的。

この手の物語は子供がワガママだったり、生意気だったりすると
物語上邪魔な存在に思えたりしがちだけど、伝助は素直な子だった
のでその辺りはまったく問題無くて、むしろ伝助みたいな子供がいたら
楽しいだろうなとも思えた。

伝助がヤクザの子供だと秀吉が知った後は、バッドエンド直行って
感じの絶望的展開だけど最後はいい感じの所に落ち着いた感じ。

刑務所にヒットマンが来て、ぴゅ~ってならなければいいけれど、
刑事さんの言葉を信じて大丈夫なはずだと思っておこう。

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語 (小学館文庫)/小林 弘利
¥580
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四十九歳の筒井肇は会社人間。
これまで家庭を顧みず仕事一筋に邁進してきた。
そのため妻や娘は肇に距離を置き家庭の絆は崩壊寸前だった。
取締役の椅子と引き替えに会社からリストラの最前線に立たされた肇は、
同期入社であり親友である工場長の川平に工場閉鎖を告げる。
結果的に友情を裏切ることになった肇は自らの仕事に悩み始める。
そんな時、島根で暮らす母が、病に倒れたとの報が入る。
見舞いに帰郷した肇だったが、そこで親友・川平の死を知らされる。
肇は将来を約束された会社を辞め、小さい頃からの夢であった
電車の運転士になることを決意するのだった。

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5月29日に公開された映画作品のノベライズ本。

妻も娘もいるエリート会社員が、その地位を捨て電車の
運転士になるという子供の頃からの夢を叶えるといったストーリー。

大人が夢を叶えるというテーマはよくあるテーマだけど、
それは逆に夢を叶える事が出来た人が少ないという事を
示しているように思う。

夢と現実を天秤にかけて、損得勘定や失敗する確率を考えて
夢をあきらめる事はよくある(現実の)話だ。

だからこそある意味愚かとも思える主人公の選択は、美しい話として
成立している。

まぁ、家族の事も考えず自分本位で夢に向かうのであればちょっと
ひどい話になりそうだけど、妻にも仕事があるし、娘はもうすぐ
就職という状況なので夢を追うのもアリかなと。

夢を追い始めた途端、すべての事が上手くいくようになるといった
展開には、いかにもフィクションだという印象を受けてしまったけど、
主人公や、主人公の友人達のように好きな仕事をやれている人、
楽しく仕事をやれている人はそれだけ充実しているという事だろう。

そして充実している人にはキラキラとした魅力がある。

僕も希望に沿った仕事をやれている現状があるので、その意味では
幸せ者なのだと思う。

多忙を極めていたりするとその事を忘れがちなんだけどもw

仕事がつらい時はキツい時はその事を思い出そう。


主人公と妻との関係については新鮮だった。

2人はそれぞれやりたい仕事をしていて、離れて暮らしている。
一緒に暮らすこと=一本に重なる道を歩む事だけが夫婦の形ではなく、
交わる事は無いけれど、互いに線路のレールのようにどこまでも
並走するというのも素敵な夫婦の形だと思った。


爽やかな話ですっきりした~。
ハードボイルド・エッグ (双葉文庫)/荻原 浩
¥730
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フィリップ・マーロウに憧れ、マーロウのようにいつも
他人より損をする道を選ぶことに決めた「私」と、
ダイナマイト・ボディ(?)の秘書が巻き込まれた殺人事件。
タフさと優しさを秘めたハードボイルド小説の傑作。

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主人公は探偵稼業を営んでいる。
ハードボイルドに憧れてはいるものの、依頼はペット探しが8割、
残りの2割が浮気調査というありさま…。

ダイナマイト・ボディの秘書を雇うはずが、約束の日に訪れた
秘書は老婆だったりw

カッコ付けたがりの主人公だけど、現実は厳しく、なかなか思うようには
いかない毎日。

けれども依頼を懸命にこなす姿にはスマートなカッコ良さはないものの、
泥臭いカッコ良さがあり、動物や相棒を想うさりげない優しさがあった。

物語はちょっと悲しいエピソードで幕を閉じる。
でも不思議と後味は悪くない、そんな作品。

続編は…気が向いたら読もうかな。


ハードボイルドが「固ゆで卵」の事だってどこかで見た事ある気は
したけど、この本を読むまでほぼ完全に忘れていたw
この本のタイトルを見てもピンとこなかったぐらいだもんなぁ…。