RAILWAYS | つれづれログ

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色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語 (小学館文庫)/小林 弘利
¥580
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四十九歳の筒井肇は会社人間。
これまで家庭を顧みず仕事一筋に邁進してきた。
そのため妻や娘は肇に距離を置き家庭の絆は崩壊寸前だった。
取締役の椅子と引き替えに会社からリストラの最前線に立たされた肇は、
同期入社であり親友である工場長の川平に工場閉鎖を告げる。
結果的に友情を裏切ることになった肇は自らの仕事に悩み始める。
そんな時、島根で暮らす母が、病に倒れたとの報が入る。
見舞いに帰郷した肇だったが、そこで親友・川平の死を知らされる。
肇は将来を約束された会社を辞め、小さい頃からの夢であった
電車の運転士になることを決意するのだった。

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5月29日に公開された映画作品のノベライズ本。

妻も娘もいるエリート会社員が、その地位を捨て電車の
運転士になるという子供の頃からの夢を叶えるといったストーリー。

大人が夢を叶えるというテーマはよくあるテーマだけど、
それは逆に夢を叶える事が出来た人が少ないという事を
示しているように思う。

夢と現実を天秤にかけて、損得勘定や失敗する確率を考えて
夢をあきらめる事はよくある(現実の)話だ。

だからこそある意味愚かとも思える主人公の選択は、美しい話として
成立している。

まぁ、家族の事も考えず自分本位で夢に向かうのであればちょっと
ひどい話になりそうだけど、妻にも仕事があるし、娘はもうすぐ
就職という状況なので夢を追うのもアリかなと。

夢を追い始めた途端、すべての事が上手くいくようになるといった
展開には、いかにもフィクションだという印象を受けてしまったけど、
主人公や、主人公の友人達のように好きな仕事をやれている人、
楽しく仕事をやれている人はそれだけ充実しているという事だろう。

そして充実している人にはキラキラとした魅力がある。

僕も希望に沿った仕事をやれている現状があるので、その意味では
幸せ者なのだと思う。

多忙を極めていたりするとその事を忘れがちなんだけどもw

仕事がつらい時はキツい時はその事を思い出そう。


主人公と妻との関係については新鮮だった。

2人はそれぞれやりたい仕事をしていて、離れて暮らしている。
一緒に暮らすこと=一本に重なる道を歩む事だけが夫婦の形ではなく、
交わる事は無いけれど、互いに線路のレールのようにどこまでも
並走するというのも素敵な夫婦の形だと思った。


爽やかな話ですっきりした~。