つれづれログ -22ページ目

つれづれログ

色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

エブリ リトル シング クワガタと少年 (講談社文庫)/大村 あつし
¥500
Amazon.co.jp

少年はなぜあえて五本足のクワガタを選んだのか。
なぜこんな些細な出来事が夢の実現に悩む人々に勇気を与えたのか。
副題作はじめ、巧みに張られた伏線を拾いながら先の見えない
展開を見せる。
読者が自殺を思いとどまった、不登校児を救ったなどの逸話が
ニュースにもなった愛と感動の連作短編。
人生が変わる奇跡の六編。

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ブログで絶賛されていたのを読んで読んでみた。
好きなジャンルである短編集。

う~ん、確かに良い話だしエピソード通しの繋がりも面白いけれども
「自殺を思いとどまった」、「不登校児が治った」という販促の帯は
どうなんだろう?

なんかダイエット系の通販やら、新興宗教を連想してしまうのは僕だけ
だろうか?
まぁ、それは売り方の問題だし、物語に対する人の感想や価値観は
人それぞれだから、本の良しあしにはあまり関係ないけれども。

表紙の絵が好き。
女性が本を手にしていて、その表紙はその風景そのものという
無限ループ状態。
合わせ鏡みたいな。
このパターン、たまに見かけるんだけど∞というのはロマンだね!
まぁ、この本は表紙が女性の指で隠れちゃってるんだけど。
敢えて隠してるのかな?

1つ1つのエピソードは独立しているが、絶妙なつながりを見せたり、
時系列が違う話だったりして面白い。
ああ、あの人物か!みたいなちょっとした感動が味わえる。

以下は印象に残った先生から生徒への(心の)セリフ。
「現在の苦労なんて、将来の喜びのための一時的な借金に
過ぎないんだよ。
そんな利息もつかない借金なんて、目標を達成して
一括返済いちゃえばいいのさ。」

「若い時の苦労は買ってでもしろ」が口癖の恩師がいたけど、
それに通じる話だなぁ。
ハイリスクハイリターンみたいな(ちょっと違うか?)。

苦労があるから喜びも大きなものになる。
毎日がごちそうだったら、すぐに飽きるものだ。

それと
「山頂への最短距離なんてないんだよ。
一直線じゃ、勾配がきつ過ぎてのぼれないだろう。
道がくねっているからこそ登れるんだ。
一見無意味な経験を本当に無駄に終わらせてしまうか。
それともそれを糧にできるか。
人間には二種類しかいない。」
というセリフ。

これも良くある話ではあるんだけど、それだけ無意味と思われる事を
嫌う人が多いという事だろう。
まぁ、確かに無駄で面倒な事はしたくない。
効率良く生きていきたい。
そう思う。

でも無駄で面倒な事だってやらないといけない事も当然ある。
しかし、それはその人次第でその人の糧にできる事なんだと。

そう考えると本当に無駄な事なんてそうそうないだろうし、誰かが
やらないといけない面倒事を、自らやる事で円滑になる
人間関係だってあるはず。

そういう気持ちを胸に生きていけば、また違う世界が見えてくるのだと
思う。

とここまで書いて思った。
確かに自殺を思いとどまったり、不登校をやめようと思えるだけの物が
この本にはあるのかも。
武士道エイティーン/誉田 哲也
¥1,550
Amazon.co.jp

高校時代を剣道にかける、またとない好敵手。
最後の夏、ふたりの決戦のとき。
新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、いよいよ天王山!
わたしたちは、もう迷わない。この道をゆくと、決めたのだから。

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武士道シリーズの最終巻。

なかなか寝付けなくて読み進めているうち、気が付けばAM7:00…。
睡眠時間は1H。
仕事中は大丈夫だったものの、運転中は睡魔との激しいバトル。
ちょっとヤバかった…。

面白い本を読んでいると、続きが気になって辞められず、結果的に
徹夜ってたまにやってしまう。
ツラいの分かってんのに、馬鹿だなぁ自分。


16の感想は↓
http://ameblo.jp/tsuredure-weblog/entry-10528832317.html

17の感想は↓
http://ameblo.jp/tsuredure-weblog/entry-10589096164.html


最終巻という事で早苗と香織、香織とレナの勝負に遂に決着が。

その話が軸ではあるんだけど、過去2作は早苗と香織の目線のみで
展開していた物語に、サイドストーリー的な要素が加わっている。

サイドストーリーの主人公は早苗の姉、香織の師匠、早苗の剣道部の
先生、香織と早苗の後輩という人達。

結果的に物語の幅が広がっていて実にイイ感じ。
とくに香織の視聴と早苗の先生とのつながりにはニヤリとさせられた。
まさかそうくるとは…。

物語は最終巻という事で、変な余韻を残す事もなくキレイに
まとまっている。

今作では香織の強さに更なる磨きがかかっていて、まさに鬼神。
香織先輩、正直カッコよすぎです…。
それでも決して修羅ではない所がまたイイ!

早苗も立派に強豪校の団体戦メンバーの役割を果たしていて、
成長したなぁ。

早苗がケガする展開はちょっと残念ではあったけど。
スポーツにケガがつきものなように、スポーツ物にケガはつきものだ。
ケガと戦う選手の描写は物語的には良いネタにはなると思うけど、
最後くらいはベストな状態での2人の戦いを見たかったなぁ。

とは言え、お互いを同志と認め合い、決戦で本当に楽しそうに
剣道をする早苗と香織の2人からは、こちらにもワクワク感が
伝わってきたし、決着の後のやりとりにはホロリとさせられた。

そして香織とレナの個人戦頂上対決。
とても激しい一戦だったけれども、ここでも香織の心技体の成長が
見られて良かった。
変に遺恨が残るような戦いでも無かった事だし。

早苗が剣道を辞めて、別の道を模索する展開はちょっとキツかった。
寂しいというかなんというか…。

自分が物事を辞める時、そこには心の整理みたいな物を経る事で
ある意味自分を納得させて実行に移す。

これに対して他者が前触れもなくそれまでやってきた事を辞めた事を
聞くとなんだか寂しくて、ちょっとだけ納得できない気持ちになる。
特にその事が好きで、その事に対して一生懸命な姿勢を
見てきている場合。
まぁ、本人が納得してるのに他人がとやかくいう事では無いんだけど。

そんな感情が早苗に対してあったのだと思う。
本人が前向きだから、納得すべきなんだろうけどね。

ただ最終的な展開を見ていると、膝が完治した早苗はやっぱり剣道を
再開するんだろうなぁ。
早苗と香織の2人はずっと一緒に戦い続けて、お互いに切磋琢磨
して武士道の道を歩んでいくんだろう。
なんだかうらやましいな、そういう関係。


う~ん、満足満足。
良いシリーズだった。
武士道セブンティーン/誉田 哲也
¥1,550
Amazon.co.jp

早苗は成績重視・結果主義の剣道強豪高へ、
香織は個人主義から部に忠義を尽くし始める。
ふたりの武士道の時代(研究中)が幕を開けた―。
新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、正面打ち二本目。

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以前、ここでも感想を書いた「武士道シックスティーン」の続編。

16の感想は↓
http://ameblo.jp/tsuredure-weblog/entry-10528832317.html

16は文庫化されているけれど、続編の17と18はハードカバーのみ。
ということで文庫化を待とうと思っていたけれど、続きが気に
なっていたため、遂に購入。
誘惑に負けた…orz
まぁ、十分に楽しめたので良しとしよう。


早苗は福岡の剣道強豪校へ転校し、色々と戸惑う展開。
前作は香織が悩んだり迷ったりする印象が強かったけれども、
今作では逆になったような感じ。

新しい環境に踏み込むと、それまでの環境との違いを痛感して、
自分の場所じゃない感を感じてしまうことはよくある事だ。

それが元で途中、東松学園に戻ろうとする展開になったけど、
それは物語としては納得できない所があった。

物語の中だからこそ、そういった環境の違いにへこたれない、
強い意志の力を見せて欲しかったから。

結果的に早苗は親友であり、香織の宿敵であるレナを倒し
東松学園に戻る事をやめた。
うんうん、主人公はやっぱりそうでないとね!
でも戻って香織達と一緒に戦う姿も、ちょっと見たかったりした…。

レナとの対決は競技としての剣道と、武道としての剣道の対決でも
あったわけだけれども、それについての吉野先生(剣道部の先生)の
話には深い感銘を受けた。

武道は相手の戦闘能力を奪い、戦いを収めるためのもの。
相手をしてくれるのは敵ではなく、同じ道を歩む同志。
だからこそ礼に始まり礼に終わる。

う~ん。
武道って競技という要素だけでなく、精神的な要素が大きいものだと
いう認識だったけど、漠然としたイメージだった。

理解も出来ていないので、なんとなく古臭いものとしてのとられている
側面もあったんだけれど、上記のセリフで武道って素敵なものだなと
思えた。

こういった昔からの伝統的な精神面の成長を重んじる武道は
素晴らしいものだなと思った。
だからといって今更自分でやろうとは思わないけれども…。


香織の事を全く書いてなかった…。

香織は16の頃から比べてすっかり丸く…はなっていないけれども、
学校への帰属意識が向上していたり、後輩の面倒をしっかり見たり
着々と成長している感があって良かった。

剣道の姿勢も精神面と共に変化しているようで、いい感じだ。


さて、最終巻の18を読み始めるとしますか。
楽しみ~。