つれづれログ -19ページ目

つれづれログ

色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

魔球 (講談社文庫)/東野 圭吾
¥580
Amazon.co.jp

9回裏二死満塁、春の選抜高校野球大会、
開陽高校のエース須田武志は、最後に揺れて落ちる“魔球”を投げた。
すべてはこの一球に込められていた…。
捕手北岡明は大会後まもなく、愛犬と共に刺殺体で発見された。
野球部の部員たちは疑心暗鬼に駆られた。
高校生活最後の暗転と永遠の純情を描いた青春推理。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

ミステリー大好き!って訳でも無いんだけど、東野作品は好き。
なるべくミステリー色の濃くない作品を選ぼうと思ってチョイス。

でも、ばりばりミステリーでしたw
まぁ、面白かったので良いけど。

作品の魅力としては、須田武志の強力な個性が大きい。

超人的な野球のセンス、そしてプロ野球を目指すための努力。
性格的には強靭な精神力と高校生離れした落ち着いた言動。
その能力と性格ゆえに、周りの野球部員とは確執も…。

ただ、母親と弟に対する愛情は非常に深く、プロ野球を目指している
動機も貧しい生活を少しでも楽にさせようという思いから。

高校生とは思えない強い意思と、家族への愛。
その性格が事件を生んでしまった…。

もしも身近に武志のような人物がいたら、確かに近寄り難いし
お近づきにはなりたくないかもしれない。
才能があって、内気な人は対人的に損する世の中だよなぁ。

ミステリーとしての意外な展開、そして事件の真相も十分楽しめた
けれども、武志の生き方が印象的な作品。
ひとりぼっちの王様とサイドスローのお姫様〈2〉 (メディアワークス文庫)/柏葉 空十郎



¥704
Amazon.co.jp
強豪山霧学園を破るも、甲子園の切符を逃した巧也たち。
夏休みは、アルバイトと練習の日々に明け暮れていた。
日を追うにつれ、次第に蘭は巧也に惹かれていく。
綾音の気持ちを思い揺れる蘭。
そして秋季大会。
雪辱を期す巧也たちと同じくこの大会に懸ける学校があった。
蘭の兄、球士ら立秋館高校である。
準々決勝に駒を進めた巧也たち。
その対戦相手は―運命の悪戯か立秋館だった。
兄の執念を知る蘭は悩む。
様々な想いを胸に秘め、蘭は試合に臨むのだが―。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

以前ここでも感想を書いたシリーズの第2巻。
前作の感想は↓
http://ameblo.jp/tsuredure-weblog/entry-10530644

前作では良い設定があるにも関わらず、ボリューム的な問題で
勿体ないなと思っていたらこの続編が。

本作では秋の大会までなので、更に続編が出るんだろうなぁ。
続きが楽しみ。

あらすじにあるように、蘭にスポットライトの当たった本作。
でも蘭と巧也、綾音の三角関係的な展開はちょっと…。

高校生の恋愛なだけにドロドロしてないし、蘭の性格のおかげで意外に
さっぱりしていて、想像していたより悪くはなかったけど。

お約束的展開ではあるけど、次巻以降は控えめにしてほしいな。
青春物だけに、多少のゴタゴタは必要だろうけど。

巧也が考えるように、綾音の駆け引き的な行動は正直面倒だと思う。
女の子らしいといえばそうなんだけど、そういう行動って相手に
よっては面倒に感じるだけだから難しい。

それを上手くさばけるのが、恋愛センスがある人らしい。
実際にそういう側面あるんだろうけど、駆け引きってあまり好きじゃない。
そういう男性、少なくないと思う。

言ってみれば、「思いやり」なんだろうけど。
相手を思いやるのは言うまでもなく大事な事。
でも相手に対して、自分を思いやる事を当たり前と考える事は、
ちょっとしたエゴではないかな。

エゴだから悪いって訳でも無いし(恋愛だし)、単なる好き嫌いの
問題にすぎないけど。


試合のシーンの描写は前作同様、丁寧で好きだ。

試合の中では蘭や日野(ピノ?)や松田など、前作で活躍しきれなかった
メンバーも十分活躍していて良い。

進学校が野球の強豪校に挑むため、テーマを決めて練習するのも
説得力がある。
それも王道的。

全てにおいて規格外の男、山葉の活躍は相変わらず楽し過ぎる。
今作ではファントムなる魔球(単なるフォーシームなんだけど…)を
身に着け、三振の山を築く。
今後の成長が楽しみな男だ。

立秋館との試合の幕切れはあっけない物だった。
伏線は十分にあったけど、なんて残酷な展開…。
このことが次巻以降で尾を引かないといいんだけど。
イップスとかチームの不和とか…。
チームカラー的には大丈夫だと思うけど。

思惑通り21世紀枠で甲子園出場!→綾との約束を叶えるっていう
展開も、ちょっと物足りないものあるし、チームが十分に成長した
2年後の夏の大会が大本命かな。


それまでの展開が非常に楽しみなシリーズ。
スマッシュ×スマッシュ! (徳間文庫)/松崎 洋
¥560
Amazon.co.jp

試合中に怪我を負ったプロテニス選手の笠松勇太は、
傷が癒えても、以前の強い自分を取り戻せずにいた。
スポンサーは離れ、練習場所もなくなった。
そんなある日、東京の昭島市でテニススクールを開く校長が、
コーチになることを条件に、コートを貸してくれることになった。
ところが、問題を抱えているため、ほかの子供と一緒に練習ができない、
小学三年生の颯人の専属コーチとなり…。
「走れ!T校バスケット部」の著者が贈る感動のテニス・ストーリー。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

T校バスケ部もそうだったけど、シンプルな文体が印象的な松崎さん。
多少の物足りなさはあるものの、読みやすいのは○

颯人はアスペルガー症候群の子供。
聞いたことがある病名ではあったものの、詳しくは知らず
自閉症みたいなものだと思っていた。

実際には自閉症の子供よりも知能が高かったりするらしい。
更には歴史的な進歩を成し遂げた人達の中には、アスペルガー
障害の症状がみられる人達が大勢いるとの事。

うん、一つ勉強になった。

颯人は知能が高いため、周りの子供達と馴染むのが難しく、
パニックを起こす事が多かったが、勇太との、そしてテニスとの
出会いの中で目覚ましい成長を遂げる。

その成長ぶりが微笑ましかった。
パニックが起きそうなときに、必死にそれを抑える様子とか。

周りとの違いに特に敏感だと思われる日本の学校という環境の中で
颯人のような子供が、普通に生活するのが困難だというのは
想像に難くない。

だからそういう子供については、皆と同じ環境を強要するのでは
無く、その子に合った環境を用意してあげる事が親としては大事。
よーく覚えておこうと思う。

物語の大きなテーマとしては、勇太の再起。
ケガが原因で日本のトップレベルから転がり落ちてしまった勇太は、
颯人やクラブの仲間達との出会いによって、以前の輝きを
取り戻していく。

そんな勇太の復活と成長の描写も良かった。
スポーツものはこうでないと。

印象的だったのは常にチャレンジャーであるべきだという事。
過去の栄光にとらわれることなく、「負けたくない」ではなく
「勝ちたい」という積極的な心理で勝負に挑む事こそが、
テニスの試合の勝敗を分けるとの事。

決してテニスに限った話ではない。
勝負の世界では、勝利を貪欲に求める事が勝つための条件だと
思うし、守りに徹するよりもそちらの方が楽しめるはず。
こちらもよく覚えておこうと思う。

エピローグもしっかり書いてあって良かった。
勇太の海外ツアーでの活躍や颯人の難関校の受験など。

ケガが奇跡で治るのは、若干の違和感を感じてしまったけど
奇跡なら仕方ないな!

颯人はテニス続けてるんだろうけど、それについてもうちょっと
書いて欲しかったのが正直な気持ち。
吸収も早かったし、いいプレイヤーになるんだろうなぁ。


テニスは体育でやったことがある程度だけど、球の感覚が
好きだったなぁ。
またやってみようかなぁ。